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その85

ひと夏の夢、セレブの夢

 久しぶりに風邪をひいた。「風にふかれて」を風邪をひいて書いている。治るのに以前より時間がかかるのは年のせいか。

 ひたすら休養と寝ていたが、変な夢ばかりみる。

「なんで、そこに、この人」みたいな人物が現れるが、カゼに吹かれて、日常の無意識が取り除かれ、心の奥の奥にある記憶や願望が表出するのか。

 深層心理だが時々、真相心理と感じることもあり自分でも驚く。死にそうになる夢を見ることもあるが、直前で目が覚める。

 そのまま目が覚めなければ、そのまま安楽死になってしまうのか。

 夢の続きを見たくて、二度寝すると、たまに続きが見られる事があるが大体は無理だ。

 そして間もなく忘れてしまって変な夢という記憶はあるが、内容は漠然としており、記憶として定着しない。

 バクは夢をばくばく食べるのか。バクが寝る時はバク睡で笑う時はバク笑だが問題にはならない。

 前号で輪廻を話題にしたが、ヒト以外で生まれ変わるとしたら何がいいだろう。

 元来、私は怠け者なのでナマケモノもいいが、動物園のナマケモノは、ずっと怠け者を演じているので実はナマケモノではないのかもしれない。

 ヒトや動物を外見や名前で判断してはいけないが、見た目は大事で、世の中はアキラかに見た目100パーセントだ。

 過日、上野公園で若い女性に話しかけられた。

 以前から私の事を見かけており、面白い事をしているので、興味があったが、なかなか話かけられなかったという。

 確かに私は見るからに怪しい。やっている事もだが風貌も時代遅れのオッサンだ。「怖いのも見たさ」という言葉があるが、スリルと楽しさは表裏一体だ。

 冒険旅行が楽しいのは、リスクにともなう緊張感があるからで、ワクワク、ドキドキの緊張感は人生を楽しくする。

 不倫が文化とは思わないが、ワク、ドキなものの一つなので、今後もきっと人間社会からはなくならない。

(あくまでも個人的意見です。つーか全ては個人的感想のブログです)

 風邪で寝込みながら、ぼんやりとテレビの旅番組を見ていた。

 温泉やグルメのご当地宣伝番組だが、行った気持、食べた気持になる。元来、私は怠け者なので、旅行した事が少なく、北海道や九州、四国には行った事がない。

 北は十和田湖、南は広島が最高に遠い場所だ。

 ロンドンにいた時、旅行雑誌に「パリには世界のオノボリさんが集まり、ニースには世界の金持ちが集まる」という記事があった。

 ならば一生の思い出にと、夏休みにロンドンからニースに家族旅行をした。

 ホテルは三ツ星の高級ホテルで、朝食もメイドがテーブルごとにサーブしてくれる。

 片言のフランス語は、かえって混乱するので日本人旅行者らしく下手な英語で注文する。

 日中は観光などはしないで、金持ちらしくプライベートビーチに行っ
て、日光浴しながら地中海の青い海をボーッと眺める。

 元々、田舎の貧乏人なのでセレブの真似はつらい。チップをスマートに渡せない。

 あの時のフランスの通貨はフランで、一心不乱でレートを暗算しなければならなかったが、本当の金持ちは、そんなことしないか。

 ニースの近くのサントロペという田舎町にブリジッド、バルドーが住んでいるらしい。

 もし偶然に会ったら何と話しかけようなど心配もしたが、偶然あって本人だと分るはずもない。

 B・Bは既にバーバーになっている。

 ニースは観光都市だが、英語が通じない所がけっこうある。

 高級レストランのメニューはフランス語でしかも読めない筆記体だ。

 セットメニューなどなく、前菜から選ばなければならない。

 わかったような顔をして選ぶがテーブルに出されたものをみて自分でも想定外に驚く。

 表情には出さずに、したり顔して食べなければならないが、日本のファミレスの方が旨くて安い。

 ワインも試飲させてくれて、これでいいかと尋ねられるが、いいも悪いも分らないので「ウイ」と返答する。

 近くのテーブルの中国人が、首を振って「ノン」と言ったら、ウエイターがすぐに別のワインを開けてくれた。

 これが金持ちか。真似はできそうにない。

 開けてしまったワインは、どうするのかと心配もする私は、やはり貧乏人だ。

 地中海の風に吹かれて、ひと夏のセレブの夢だったが、帰宅してから夏風邪をひいた。

 (2018.2.1)アンブレラあつし

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