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その262

老化も進化

「年相応」という言葉があるが、70過ぎて年相応に老化してきた。

 以前から知人の名前が思い出せない事はシバ、シバあったが、最近はシバ、シバ、シバでシバの3乗、心身共に「老化、参上」だ。

 昔はがんばって、しばらく考えると思い出す事もあったが、今は無理で諦める事も多い。

 人生、諦めが肝心だが、思い出せなくても「マーイーカ」と自分に言い聞かせてしまう。

 自家用車は、「マイカー」だが、車をこすって車体にキズが付いても「マーイーカー」で諦める。

 小さなキズに気づく事は大事だが、気づかない方が幸せな事は人生アルアルだ。

 老化は各種機能の「劣化」だが、老人になってからは、ホドホドに劣化することは、いい事で、よけいな心配も少なくなる。

「♪理由の分からない事で、悩んでいるうち、老いぼれてしまうから」は、森進一の「襟裳岬」だが、悩まないで残り少ない余生を楽しく送った方がいい。

「♪襟裳の春は、何も無い春です」と歌うが、何もない地方は日本にアルアルだ。

 人口減少から限界集落、廃村、「ポツンと一軒家」に進化し最後に何も無くなる。

 上野公園で、よく会う知人にNさんがいる。

 私より5歳くらい年上だが、最近まで市民ランナーとして全国のフルマラソンのオッカケをしていて見た目も若い。

 彼は北海道の室蘭市に近い伊達市から、週末に飛行機で上京している。元自衛隊員で独身で年金暮らしというが年金だけで、そうそう上京して遊べない。

 よくよく聞いたら一人息子で親の残した遺産を食い潰しているらしい。

 会うと必ず、北海道土産のお菓子を私にくれる。写真が趣味で私の上野公園での「芸術活動」の写真も、よく撮って私にくれる。

 何も御礼ができないので、色紙や普通の紙に絵を描いてあげるのだが、ある時、私の絵が並べられた彼の部屋の写真をもらい恐縮してしまった。

「類は友を呼ぶ」で私も変人だが、彼も変人だな。

 もう一人の知人にKさんがいる。

 彼は九州出身で上野公園ちかくのマンションに住んでいる。歳は私より2歳上だ。

 京都大学院卒のエンジニアで、ドイツを中心にヨーロッパでの生活が長かったらしい。

 長女は、オーストリアの貴族に嫁ぎ、次女はドイツの日本大使館に勤務しているという。

 話しが面白く、会うと一時間くらい世間話をしている。奥さんとは早期に死別したらしい。

 仕事はリタイアしたが、たまに彼しかできない技があるらしく、会社から相談依頼される事があるという。

 自家用車は外車だというのでベンツかBMVかと思ったが、「フェラリー」と聞いてびっくり。

 やっぱ昭和のオジサンで「いつかはクラウンは、いつかはフェラリー」に進化していた。

「人間交差点」という漫画がある。路上の交差点は瞬時の「出会いと別れ」だ。

 公園の「出会い」は、一期一会に終わらず継続することもあるが、「別れ」は必ずくる。「じゃーまた」と言って別れ、それが最期になる。

「一期一会」だが、イチゴ農園の食べ放題は「ストロベリーワンチャンス」と言って、気合いを入れて食べるのか。

 イッキにイッカイで食べると喉がつまるので注意だが、食べ過ぎて「いちご、はくしょ」は迷惑だな。

 (2025.1.18)アンブレラあつし

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