3週間ぶりに上野に行った。桜の花はすっかり散り若葉の緑も色濃くなっている。
上野の桜は散ったが私用で週に一、二度行く米沢は今が満開だ。
13号線は高速道路の建設が着々と進んで新しい橋もでき景観もしだいに変わりつつあるが、いつ開通するのかは、よく分らない。
山の上の方の山桜はこれからが満開だ。
「敷島の大和心を人問えば朝日に匂う山桜花」と日本人の心を読んだのは本居宣長だ。
土手や公園で人に媚びるように咲き誇るサクラより人知れず孤高に山に咲く一本桜が美しい。
上野公園で水を撒き売名行為をしている自分が恥ずかしいが天職なのでしかたない。
天職で変換すると転職になるので面白いが、転職したからといって天職にはならない。
この宣長の歌にある「敷島、大和、朝日」は煙草の名前にもなっていると教えてくれたのは古文の先生だが、昔「チェリー」という煙草もあったのは偶然か。
煙草とサクラには何か関係があるのかと質問しようと思ったが妙な質問をして先生に持ち物検査をされても困る。
短歌など冒頭から引用したが高校時代、古文は赤点だった。他に漢文、物理、もしかしたら数学も赤点で再試験、春休に再々試験までやらされた。
F高だけに下駄をはかせて卒業させてもらったに違いない。
高校時代はかっこつけてセブンスターを吸っていた事があり確か百円だった。
当時政治活動していた高校生の集まりがあり、一つ年上の女子高生がセブンスターをかっこよく吸っていたのに憧れてまねをした。
「新生」は貧乏くさい。「ハイライト」は労働者ぽっい。
共産主義者が聞いたらブルジョワ的だと激怒し自己批判を強制されるかもしれないがカストロ将軍も葉巻を吸っていたと言い訳しよう。
セブンスターはマイルドセブンになり、よく売るとらセブンになった。
もう一年近く前になるが改装前の上野の文化会館の軒下で水撒き活動をしていたら、大柄な外国人の女性が煙草を吸っていた。
喫煙場所は指定されているので公衆道徳をわきまえない方だと思ったが自分も言える立場ではないので黙認したがモク認ともいうのか。
彼女が携帯で水撒きの絵を撮り始めたので英語で話しかけてみた。
イタリア人でオペラ歌手らしい。リハーサルの合間らしい。
体もおおらかだが気持ちもおおらかだ。煙草をぷかぷかすっている。
喫煙は声に悪いと思うがオペラ芸術の本場の国からきた方は細かいことにはこだわらないらしい。
芸術家はこうでなくてはならない。
話は高校時代に戻るが地下の薄暗い喫茶店で百円のホットコーヒーを頼み彼女を待っていた。
彼女は「レスカ」を頼んだ。レモンスカッシュを約してレスカというが今ではレスカってなんれすかと聞かれてしまうだろう。
喫茶店で女子がレスカを注文し赤いチェリーの実を食べると男性への好意の表現だと聞いた事があった。
あの時、彼女は確かに実を食べた。そして種を灰皿に出して煙草の吸殻を押しつけた。
あれは一体どういう事だったのか。今となっては知る由もないが結局はふられた。
その喫茶店も今はない。カトレアかロンシャンか、そんな名前だったと思う。
コーヒーはホットで砂糖は角砂糖でミルクは持ち帰りたくなるような小さなかわいい容器に入れてくるのが定番だった。
今のカフェは注文が難しい。
メニューが多く、内容も分らないし、スタッフの言葉も時々聞き取れない。何度も聞き返すと並んでいる後ろの方に迷惑なので気がひける。
上野公園にはしゃれたカフェのスタバがあるが入れないでいる。ホットやブレンドが通じない喫茶店はブレンドリーな気持ちでホットはくつろげない。
なんとか注文することができても混んでいると座る場所がない。席を確保してから注文というが席に置くものがない。
傘とバケツを置いたら嫌われるだろう。
昭和のおじさんからすればドリンクバーやコンビニコーヒーは邪道だ。おもてなしが感じられない。ウエトレスが注文を聞きに来てくれて運んでくれる時代は終わったのか。
若くてかわいい娘だったら注文時、配ぜん時、会計時と三回も嬉しい。時々灰皿だって取り替えてくれる。
昭和の妄想が妖怪となって頭を駆け巡る。妖怪人間ベム、ベロ、ベラは平成になり寄生獣になってしまったのか。
いや、妖怪人間は要介人間になって急激に仲間を増やしている。
私の親族にも要介人間が多くいる。私もやがて要介人間になって社会の寄生獣になるのか。
頭が溶解人間になっている。話題が暗くなってきた。
あいね暗いねナハトムジュークボックスがあった昭和は、まぎれもなく終わった。
ジュークボックスに未練はあるが、もう見れん。というより、もう聞けんし危険だ。
話が終わらないので無理やりまとめる。
つまり、その、煙草は生活習慣病にもつながり要介人間になるので、吸いすぎには注意しましょう。
これで送信できる。そうしんじる。
(2015.5.1)アンブレラあつし |