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その212

人生はマボロシ、余生は罪ホロボシ

 今は娘達は同居してないが、毎年、この時期にひな人形を飾る。

 ひな人形といっても五段飾りのゴージャスなものではなく、お内裏様とお雛様、三人官女のコンパクトなものだ。

 クリスマスツリーと同じでデカいものは設置も片付けも大変なので、狭いマンションに住んでる身としてはコンパクトなものがいい。

 購入したのは地元のおもちゃ屋、同学年M君の店「ヱビスヤ」だったが、その店もずいぶん前に店じまいして今は駐車場になっている。

 同級生H君の「日野屋楽器店」は今も「スズラン通り」にあり嬉しいが、昔あった福島楽器店や秋田屋楽器店は既にない。

「スズラン通り」は、名前が「パセオ通り」になって久しいが、なんであんな横文字したのだ。

 安易に横文字にする風潮があるが「節操」がない。

 人の上に立つものは、より大きな節操を持つ事が必要だが、「節操関白太政大臣」という官位はないか。

 同級生A君の県庁前通りにあった「浅野制帽店」も一昨年店じまいをした。

 そういえば昔、県庁前通りにはO君のお菓子屋「大正軒」があったな。

 同じく県庁前通りの文房具店「文化堂」のビルも取り壊しに入った。

「寄る年波には勝てない」という言葉があるが「変わるマチナミにも勝てない」で、変わる街並の風景を止めることはできない。

 これで「楽しいお買い物、デパート中合」があった駅前の空きビルが取り壊され、新しいビルができれば福島もスッカリ変わってしまう。

 中合デパート二番館の地下には同学年Sさんの「ハトヤスーパー」もあったな。

「安達太良山の上にある空が、本当の空だ」と言ったのは高村智恵子だが、私の「本当の福島」の風景も無くなっていく。

 今思えば[エビスヤ、大正軒、浅野制帽店、ハトヤスーパー」があった福島の風景は昭和の「幻影」で「あどけない話」だったのか。

 街中の店舗もだが、住宅地の家屋もいつのまにか取り壊され、更地になっている。一見住んでいるように見える家も実は空家なことも多い。

 前記した雛人形だが、「たのしいひな祭り」という童謡がある。

「♪五人囃子の、笛太鼓」だが、うちは二段飾りで五人囃子は居ない。三人官女のアカペラで代行するしかないな。

「♪お内裏様とお雛様、二人そろってすまし顔」だが、最近は電車の中も、みんなそろってスマホ顔で表情がない。

「♪少し白酒めされたか、赤いお顔の右大臣」だが、車を運転したら酒気帯び運転で逮捕だな。

 大量の白酒をめされると、急性アルコール中毒で天国に召されるので飲み過ぎには注意だが、「白酒」ってドブロクなのか、それとも甘酒なのか。白ワインやマッコリではないと思う。

 文中に「本当の福島」なんて書いてはみたが、「本当の○○」って、それぞれの「本当」で、今のリアルな福島の風景も本当の福島だ。

 人それぞれに「本当」がある。

 今の本当もやがてはマボロシとなって消えゆく運命だが、余生は人生の罪ホロボシに生きるボクです。

 (2023.2.11)アンブレラあつし

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