|<<INDEX | <PREV  NEXT>|
 
 

その199

昭和残照見舞い

 前号で書いた「♪一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩さがる」は水前寺清子の「365歩のマーチ」だ。

 この歌詞、二歩下がるのに二日かかるとすると、五日で一歩になり365歩進むのに5×365=1825日で、結果5年もかかり大変だ。

 このペースでは歩きたくない。

 万歩計は歩数をカウントするが、一歩下がってもカウントするのか。

 マイケル・ジャクソンのムーンウォークは摺り足だが、カウントされるのか。

 なんて、しょうもない事を考えるボクだが、こんな妄想はきっと暑さのせいだ。

 暦の上では「立秋」で秋になり、今後は「残暑」になるザンショなんて、おそ松くんのイヤミの台詞だが、葉書の暑中見舞いも残暑見舞いにするのが正しいらしい。

 見舞いには「陣中見舞い」「寒中見舞い」などいろいろな見舞いがあるが、コロナの影響で病院への「お見舞い」も簡単にはできない世の中だ。

 今の新しい病院は、ホテルのようでオシャレな建物が多いが、昭和の昔はけっこう雑然としていた。

 大きな病院の前には、お見舞い用の花を売る花屋さんや、果物屋、お菓子屋などがあって賑わっていた。

 よく見ると病院のパジャマを着た患者の買い物姿が、病院周辺で見られたりもした。

 また院内は禁煙なので、病院前の路上で煙草を吸う患者もいたり、さらに白衣を着たお医者さんが隅の方で喫煙したりしていて、カオスな風景だった。

 以前、O総合病院から少し離れた小さな公園で、かつて勤務した中学の卒業生に偶然会った。

 今は看護師をしている彼女だが、休憩時間を利用して煙草を吸いに来たという。

 さすがに人前で喫煙するのは抵抗があるのか、場所を選んでいるらしい。

 その煙草を吸う姿がさまになっていて、かっこいい。往年の大女優、オードリーヘップバーンのようだ。

 マジメな生徒だったが、仕事柄ストレスがあるのだろう。女性の看護師の喫煙率はけっこう高いという。

「先生、体で悪い所ありませんか」と看護師らしい事を聞いてきたので、私が「悪いのは、顔と頭だ」と答えると「それ、治りません」と笑って言う彼女だ。

「煙草、吸い過ぎるなよ」と教師らしい事を私が言うと「ハーイ」と返事して仕事に戻っていった。

 喫煙者は英語でスモーカーだが、煙草を吸う力士も「スモーカー」なんちゃって。

 近藤真彦の歌は「スニーカーブルース」で「スモーカーブルース」ではないが、彼が煙草に火をつける時はライターではなく「マッチ」だな。

 なんて、ダジャレで読者を煙に巻こうとするボクです。

「♪暑中お見舞い、申し上げます」と歌ったのはキャンデーズで「普通の女の子に戻りたい」と言って引退した。

 キャンデーズの解散コンサートの映像は伝説の「昭和残照」だが「♪残照お見舞い、申し上げます」なんて歌はありませんから。

 平成の時代には、あちこちで見られた「昭和残照」も、令和になって「昭和感傷」の記憶の中に消えていく。

 (2022.8.13)アンブレラあつし

PAGE TOP


 

 Copyright(C) Atsushi&Habane. All Rights Reserved.
MP3「おまぬけサンタ」 by TAM Music Factory