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その192

小指の思い出2

 隔週投稿の私のブログだが、時々ネタギレになる。

「動悸、イキギレ」には市販薬があるが、「ネタギレ」にきく薬は売ってないのか。

 以前より人生「動機不純」で生きてきた私だが、昨年の市民検診で「動悸不順」の不整脈があり、過日、再検査で24時間の心電図検査を受診した。

 24時間検査といっても、在宅で上半身の三カ所に小さな検査機器を着けてデータを取るだけだ。

 風呂に1日入れないだけの簡単な検査だが、検査料は6000円以上だった。

 3割負担なので実際の経費は結構な値段だ。

 その医院は私の自宅から歩いて数分で、月イチで血圧と痛風の薬をもらっているが、次回は血液検査もするという。

 かかりつけの医院なので、医者に言われれば検査を断ることも、なかなか出来ない。

 病気は「早期発見、早期治療」が大事なので、健康のためには金と時間を惜しんではならないが、過度な検査には抵抗がある。

 さらに高齢になれば1割負担なので、歳とともに金銭的な抵抗感は減るのか。

 この医院、診療フロアーの上の3階から5階まで高齢者ホームで、多くの高齢者が生活している。

 コロナ以前には、月イチの診察で待合室ホールで待っていると、上の階に住んでいるらしい高齢者が時々、ホールに降りてきて談笑している姿がよく見られた。

 ヒマそうな高齢者を時々検査や治療をしていれば、経営上も相当助かる。言葉は悪いが、いいカモだ。

「お客さん」を取り込み、経費は保険請求できるので安定経営だ。寿命が伸び、高齢者も増える一方なので、高齢者ビジネスは今後とも成長産業だな。

 寿命だが、新聞で先ず始めに見るのが、地方版の「お悔やみ欄」だ。

 名前を見て自分とは関係ない人が、ほとんどだが年齢を見て自分より若かったり、同世代だと感じるものがある。

 同じ歳だったりすると、より深く感じ、この方も自分と同じ共通の昭和体験をしてきたのかと思ったりする。

 自分より若い方だと、この歳で人生を終えるのは無念だろうなと、勝手に同情もする。

 前号「♪やりたいこと、やったもん勝ち・・・」で上野公園で知り合った方の「女装」を紹介したが、同じく上野公園で知り合った人に元ヤクザの方がいた。

 話しが面白いので、会うたびに長時間話しこんでいたのだが、ある時、ふっと見たら彼の左手の小指の先がない。

 その事を本人に聞く事はできないが、以前に名前をフルネームで聞いていたので、ネットで名前を検索したら、「S吉連合○○組」の幹部に同名があるではないか。

 そういえば以前、体格のいい若者が彼の面前で直立不動で何か話している姿を遠くから見た。

 私より一回りくらい上の方で昭和の昔話しが面白いのだが、プロレスの力道山がヤクザに刺された話題で、場所が赤坂のクラブ、ラテンクオーターであることなど、今思えば、やたら事件のようすに詳しすぎる。

 当事者でなくても関係者と面識があったのかもしれない。

 時々、私に飲み物など差し入れしてくれたので、お礼に地元名産の果物をお返しにと住所を聞いていた。

 約3年前頃から、ぱったりと会えなくなった。

 携帯に連絡しても「使われておりません」の返答だ。

 昨年の12月頃に思い切って彼の台東区の住所を尋ねてみた。

 古いマンションの扉に名前はなく郵便受けもガムテープで閉じられていて、人が住んでいるようすはない。

 たまたま一階にいた方がマンションのオーナーで、彼の消息を聞いてみた。

 2年前に部屋で倒れ救急車で病院に運ばれ、その後しばらくして、家族の方が来て部屋を引き払ったという。

 以前より一人暮らしで家族とは別居していたらしい。

 ヤクザで背中の彫り物を見たことがあるが、かなり前に足をあらってカタギになっていたとオーナーの方が言っていた。

 家族の住所は聞いていないという。

「♪あなたが噛んだ、小指がいたい」だが、オジサンの小指の先は、私の目にイタイ小指の思い出だった。

 (2022.5.7)アンブレラあつし

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