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その185

♪ここらで止めても、いいコロナ

 前号で話題にした小林旭の「自動車ショー歌」は、元祖オヤジギャグみたいなダジャレの連発だが、作詞がなんと昭和の大作詞家、星野哲郎でびっくり、クリきんとんだ。

 曲の歌い出しが「♪あの子を、ペットにしたくって」なんて、今だったら犯罪で放送禁止だな。

「自動車ショー歌」の「ショー歌」は「唱歌」にかけていて、昭和の大スター小林旭がダジャレソングを堂々と歌いレコードにするなんて、昭和ってマジすごい。

 歌には外車や国産車、イロイロな車名が出てくるが、小林旭の乗る車は、ヤッパ「♪燃える男の、赤いトラクター」か。

 小林旭のアクション映画って、カウボーイハットでギターを背負い、馬に乗って駆け回ったりするイメージだ。

「荒唐無稽」で、今思えば無茶苦茶だが、彼ならアキラ100パーセントできる役で、石原裕次郎や加山雄三は、あんな役はできない。

 ツーカ、石原裕次郎や加山雄三のイメージが崩れるので事務所は絶対にやらせない。

 話しは変わるが、昨年、上野公園で水撒きアートをしていたら、一人の若い男性が興味を示し、じっと水アートを見ている。

「学生さんですか」と聞いたら「そうです」と彼は答える。

「この近くの大学ですか」と聞いたら「そうです」と彼は答える。

「芸大ですか」と聞こうと思ったが、ここはフェイントを入れて「東大ですか」と聞いてみたら「そうです」と彼は答える。

「ナヌ、トーダイ」と、あらためて彼の顔をみた。

 マスクをしているが頭のよさそうな風貌だ。

 さらにツッコンで「もしかして、理Ⅲ」と聞いたら「そうです」と彼は答える。

「ナヌー、あ、あの理Ⅲ、理Ⅲといえば偏差値ナンバーワン、超難関大学の超難関学部ではないか」と思いながらも、ここは冷静に対応しなければならない。

 彼の干支や星座を紙に描いてあげた。

 普通はここで多くの人は私から立ち去るのだが彼はなかなか去らない。友達を待っているという。

 暇つぶしに「夢、命、愛」と書いて、人生の優先順位をあてるクイズを彼に出した。

 彼は「命、愛、夢」と答えたので、「ブー、間違い。愛より夢が大事で、正解は命、夢、愛なのだよ」と言ったのだが、彼はいまひとつ納
得していないようすだ。

 しかたないので「キリスト教では愛が大事になるね」と言ったら、彼の家族は全員がキリスト教の信者だという。

「ナヌー、早く言ってよ」と思いながらも、色々聞いたら、親は開業医らしい。

 親は開業医で息子は東大理Ⅲ、「無敵」だな。

「オジサンは芸大ですか」と聞いてきたので、「東京学芸大学」と答え「芸大より学があって、東大より芸があるのが学芸大」と自虐ネタで自慢したが、彼は反応に困っているようすだった。

「学芸大って東横線の学芸大ですよね」と言うので、今は、あそこに大学はないと説明したが、世間的には学芸大より「東横線の学芸大駅」が有名なのだな。

 しばらくイロイロと世間話しをしていたが、いつまでも彼の友達は来ない。

「メールして確かめたら」と言ったら、「この時間になって来ないなら、もう来ないと思います。大学に行きます」と言って立ち去って行った。

 友達って女友達だったのかと思いながらも、来ないなら来ないとメールするのが礼儀だよなと、彼の淋しい後ろ姿を見て思った。

 東大理Ⅲに入る事が「夢」だった少年の傷害事件が起きたが、リサンの夢がヒサンな結果になってしまった。

 夢がヤブレテ、ヤブレカブレになってはいけない。

 夢が妄想に変異し、暴走する「夢」は取り扱い注意だ。

 昭和の時代からすれば、携帯電話も含め多くのモノは昭和の「夢のような商品」で、昭和の「夢の中」で生活している今の私達だが、それがあたり前になっている。

「♪夢の中へ、夢の中へ、行ってみたいと思いませんか」と「夢中」になって歌った昭和の青春は「夢」だったのか。

「♪探しものは何ですか、見つけにくものですか」とあるが、今はGPSがあるので「♪這いつくばって」探したりはしない。

 前記した自動車ショー歌の歌詞「♪ジャガ、ジャガ飲むのもフォド、フォドに」の次は「♪ここらで止めてもいいコロナ」で、本当に終わりにしたいコロナです。

 (2022.1.29)アンブレラあつし

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