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その141

I 君追悼

 前号で原田知世の「♪時をかける少女」を引用した。

「♪時をかける少女」はサビの部分で、歌い出しの歌詞は「♪あなた、私のもとから、突然消えたりしないでね」だが、原田知世みたいなカワイー子の前から、消えるようなバカな男なんているのか。

 なんて考えながらブログを書いて送信した矢先、訃報の連絡が突然あり、友人のI君がこの世から消えてしまった。

「オーマイ、ゴッドファザー」。

 歌詞の続きが「♪二度と会えない場所へ、一人で行かないと誓って」で、「こ、これって、まんまじゃん」超ショックだ。

 彼から、昨年の九月に人間ドックで異常があり、手術になるかもしれないとメールがあったが、この歳になれば、どっか体に不具合があっても珍しい事でもないと軽く考えていた。

 今年の一月には抗がん剤治療を受けているとのメールがあって、その時は驚いたが、詳しい症状など直接聞く事をためらってしまった。

「I君なら、きっと回復するよ」とメール返信したが、今になって思うと、あの時、電話して声を聞けばよかった。

 昨年、夏の合同クラス会で会ったのが最後になってしまったが、I君は童顔で、「時をかけた少年」になってしまったな。

 昨年の合同クラス会のことはブログでも話題にして「みんなが、それぞれに帰る姿を見て、もう二度と会えなくなる友人もいるなと思った」などとカッコつけて、達観したような事を書いたが、現実になってしまった。


I君とは小学校の一、二年と中学校の二、三年クラスが一緒だった。

 運動も勉強もできた優秀な子で学級委員もやっていたと思う。

 小学校一年の新クラスの学級委員は選挙でなく、先生がリーダーシップのある子を事前調査して指名する事が多い。

 運動会ではリレー選手だし、各競技でも常に入賞し、入賞リボンをいつも胸につけていて、うらやましかった。

 中学時代は野球部で、小さい体ながらも先輩方の速いボールを簡単に受けていて関心した。

 高校の文化祭の仮装行列で、女子校の制服を着て女装した彼の姿が余りにカワイイので驚いた。

 告別式に参加したので、友人から同級生で他に誰が参列したのかと聞かれることがあるが、この時期、みなマスクをしているので、誰が誰だかよく分からない。

 アベノマスクだったら小さいので顔の輪郭から判断もできるが、皆、目だけを残して、ほぼ顔が隠れる大きめのマスクをしている。

 かろうじて二名だけは、背格好から知人と分かって挨拶できた。

 コロナが長引けば、今後マスクに名前を書く事が必要になる場合もあるのか。

 冗談でも、私のマスクに福山雅治なんて記名はできないな。

 遺族より弔辞を頼まれ、今となっては、私がI君にできることは弔辞くらいと読ませていただいた。

「Iちゃん、」と祭壇の遺影に語りかけたら、涙が出てきた。

 それにしても、我クラスは物故者が六人目で多すぎる。これってクラスターではないのか。

 天国でミニクラス会ができてしまうではないか。

 男女混合だが六人制バレーボールチームもできてしまう。

 I君は闘病生活をしながらも四月まで職場に通勤していたらしく、体調が悪い時は奥様が車で送迎したという。

 昨年秋の時点でステージ4だったというが、彼らしく病気に向き合って抗がん剤治療をきちんと受けながら、最後まで諦めることなく生活をしていたと聞く。

 彼は東京の証券会社に勤めていたが、長男という事もあったのか、第二の就職で地元の銀行で働くようになった。

 小学校はフショーだが、私と違って親孝行でフショーな息子ではないな。

 実家は渡利で、前号で話題にした阿武隈川や弁天山は、彼の子どもの頃の遊び場になった場所に違いない。

 前号の話題といろいろと重なってしまって複雑な想いだが、私なりのI君への追悼ブログです。

 不適切な内容や表現等お許し下さい。

 (2020.5.23)アンブレラあつし

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