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その102

元祖水撒きおじさん

 前号で「この親にして、この子あり」とか「血は争えない」とか書いたが、現実の世の中は「血で争う」ことはよくある。

 特に金が絡むと、親族間でも「骨肉の争い」になるが、骨肉の争いに勝つコツは「肉を切らせて、骨を断つ」なんちゃって。

 文頭から相変わらずフザケているが、トンコツ・チャーシュー麺を「骨肉ラーメン」とはいわないか。

 トンコツラーメンの元祖は九州の久留米らしいが、何事も「元祖」をめぐって争いになることがよくあり、「諸説あります」とテロップがよく流される。

 元祖サッポロラーメンと元祖ミソラーメンは違うのか。

 元祖サッポロミソラーメンもあって何がなんだか分からないが、「元祖」に本当さとありがたさを感じるDNAが元祖日本人だ。

 元祖雷おこしや元祖人形焼きなど東京名物だが、高齢になると雷おこしは硬くて噛めなくなり、カミナリおこしがカメナクおこしになる。

 硬いものを噛んで歯が欠けたり、キャラメル系の飴を噛んで歯のツメモノがトレタりすると、十年分の不幸がイッキにきた感じで青ざめる。

 東京バナナは軟らかく食べやすいので新しい東京名物だが、やがて類似品も出れば「元祖」東京バナナになるのか。

 近年、中国製の類似品やコピー商品、商標権などが、よく問題になるがロンドンに住んでいたころ、知人の中国人が「中国は4000年の歴史があり、火薬も含めて世界中の発明の元祖は中国だ」と豪語していた。

 全ての物は元祖中国らしく、欧米のように特許や著作権などセコイことは主張しないらしい。

 よく中国を自慢していた彼だが、日本に帰国する機会があったら日本のタバコを買ってきてくれとせがまれた。

 愛国心のある彼だが、日本のタバコは中国のタバコより格段にうまいらしく、4000年の歴史も個人の本音は隠せない。

 タバコはアメリカインディアンの発明品だが、今はネイティブアメリカンと言い換えられ、彼らは元祖アメリカ人だ。

 世界中のタバコ一本一本に特許料が支払われば、ネイティブアメリカンは大金持ちだが、タバコ会社は何百年も前の話で、既に時効だと煙にまくにちがいない。

 最近は煙のないタバコをよくみるが、あれってタバコなのか。

 漢字で煙草と書くが、煙あってのタバコだ。

 シャープペンシルのような形の端をクワエるシグサは絵にならないし、くわえ煙草もできなくなって刑事コロンボも困る。

 日本の刑事ドラマでは、犯人の自白の三点セットはカツ丼、タバコ、そして自白を強要させるための電気スタンドだがLEDを使っていけない。

 昭和の白熱電球が自白シーンを白熱させる。

「太陽にほえろ」で自白させるのは「おとしの山さん」だが、「おとし」って高齢の意味ではありませんから。

「太陽にほえろ」のテーマ曲を聞くと、ワクワクしてやたらと駆け回りたくなるが、オトシの私はもう昔のように走れない。

 最後は、いつも文のオトシどころを探して彷徨うが、上野公園で水を落としながら地面に絵を描いている私は自称、元祖水撒き芸術おじさんだ。

 (2018.10.15)アンブレラあつし

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