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その2

イルカに乗った中年

 上野公園には動物園があり動物を描く事が多い。

 初めて公園デビューした時はパンダを地面に描いた。

 最近はレパートリーも増え魚や昆虫も描く。

 水中動物は陸上動物にはない美しい流線形があり面白い。

 イルカを描いて、その背中の上に立ち「イルカに乗った中年」とつぶやく。

 そして「イルカに乗った元少年」と言い換える。

 周囲の人生のベテランは思わず笑う。

 若い人は何の事か分からず戸惑う。

 人生のベテランが若い人に、その訳を説明する。昭和も遠くなった。

 アイドル城みちるは男の私にとっては「気色の悪い」歌手だったが今は懐かしい。

 改めて三番まで歌詞を聞くと、そのあまりに素直な日本語に感動する。

 最近のJポップの日本語は体に悪いというか頭に悪い。

 動物などを描いていると、いつまでも子ども達が見続けて離れなくなることがある。

 後ろにいる親の中には動物園に早く入りたいと思う親もいる。

 早く終わらせる方法は最後通告である。

 サイの絵を描いて「これはサイで、最後で、さいなら」とつぶき立ち去る。

 このギャグは子どもにも受ける。

 笑いをとった瞬間は快感であるが、黙々と地面に描き続ける「孤高の芸術家」が、面白いおじさんになってしまう瞬間でもある。

 蛇を二匹描いて、これがほんとの「にひ(し)き蛇」とつぶやく。

 親父ギャグを連発する「昭和おじさん」になってしまったが、地面に描く絵も全て上下逆「ぎゃぐ」なのだ。

 (2014.6.8)アンブレラあつし

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