気に入った作家の作品は全部読みますが(雑感 74)、浅田次郎、原田マハや吉村昭らを読み終えた今、次なるお気に入り作家は誰になるかと、短編集を読み漁っています。
小説は文庫本でしか読みませんから、お気に入り作家が新刊を出しても、手にするのは文庫本が出る3、4年後です。
ところが短編集は比較的最近の作品も収載されているのですね。
最近読んだ「現代の小説2021 短篇ベストコレクション」(小学館文庫)には2020年発表の作品が、「現代の小説2022 同」には2021年発表の作品が載せられています。
2年前の2020年といえば、コロナ禍が始まった年です。
「歌は世につれ」などと申しますが、上記の2つの短編集にはコロナ禍が背景となっている作品が幾つか収められています。
また短編集「短編宇宙」(集英社文庫)にもコロナが書いてある作品があります。
「短編宇宙」(集英社文庫)
短編集「神様の罠」(文春文庫)では6編中3編がコロナ禍背景でした。「小説も世につれ」みたいなところがあるのでしょうか。
「現代の短編2022」中の荻原浩著「マスク・オブ・モンスターズ」は、解説者曰く「・・・いつもながら荻原の喜劇作家としての腕前に唸らされてしまう」とあるように、コロナ禍という暗い世相において一種の清涼剤みたいな作品でした。
でもコロナというパンデミックを知らなければ「何のこっちゃ?」となります。
菊池寛「マスク」
今回のコロナ禍は100年前のスペイン風邪によるパンデミック以来と言われていますが、スペイン風邪に絡んで菊池寛が短編「マスク」(文春文庫)を書いているのですね。
パンデミックも小説も「歴史は繰り返す」なのでしょうか。
ツーさん【2022.12.12掲載】
葉羽 東日本大震災に絡めた小説もずいぶん書かれたけれど、コロナもそうだね。逆に明るい時世を背景にした小説もありそうだけど思い付かないなぁ。