原田マハの小説「美しき愚かものたちのタブロー」(文春文庫)には松方コレクション(実業家松方幸次郎が1910年代から1920年代にかけて、イギリス、フランス、ドイツ等で収集した美術コレクション)の流転の歴史が描かれています。
その中に「毎朝六時きっかりに・・・馬車に乗り込み自邸を出て、川崎造船所に向かった。片道二十分ほどの道のりは、松方にとってかけがえのない大切な時間であった。・・・このさき会社をどうすべきか、何をしかけていくべきかを考える・・・」というくだりがあり、思い出しました。
松方コレクション
通勤ルートは異動や転居により変わり、在職中は10通り以上の通勤ルートがありました。
自宅から最寄り駅よりも、通算で最も長く通ったのが東武東上線上福岡駅から勤務地研究所への道です。通算17年です。
で、馬車ではありませんが、その道が徒歩ですと20分でした。
東武東上線上福岡駅
フレックス導入に伴い、朝も夕も一人で歩くことがほとんどで、色々と考え事をしながら歩いたものです。
特に何かの本で「歩いたりして少し体を動かしている方が良い思考ができる。ロダンの「考える人」みたいな姿勢では良い考えは浮かばない」と書いてあるのを読んでからは、誰にも邪魔されずに考え事ができる貴重な時間と意識していました。
徒歩通勤時に・・
所長代理だった時に、会社の主力製品に不純物問題が生じ、それが何であるか、どうやって取り除けるか、大きな課題となりました。
実際の作業は部下の方が行いましたが、会社での議論は勿論のこと、朝夕通勤時に考え抜き、何とか解決に至りました。
まさに通勤20分の有効利用でした。
ツーさん【2022.10.17掲載】
葉羽 僕は今ね・・職場まで2分の場所で車を停めて10分くらい、その日一日の段取りや問題解決を考えてから向かうようにしている。よく効いているよ、身体は動かしてないけども。