先月川越の「いちのや」に鰻重を食べに行ったことを書きましたが(雑感 215)、店に「うなぎ百撰」なるフリーペーパーが置いてありました。
いちのや/川越
その類を真面目に読むことはあまりないのですが、パラパラとめくると幾つかの記事が目を引きました。
関西では「うな丼」を「まむし」と呼ぶ、饅飯(まんめし)がなまった等諸説あり、初めて知りました。
「うなぎ大好き文豪」なるコラムには、3位は夏目漱石と斎藤茂吉、2位は福沢諭吉、1位は太宰治と。
「うなぎ百撰」
斎藤茂吉とコラム中に登場する井伏鱒二と林芙美子は、「うなぎ 人情小説集」に作品が収載されていて、2冊の本が私の頭の中で繋がりました。
小泉武夫(福島県出身、東京農大名誉教授)のコラムには、『・・・「鰻屋の生命はたれに在り」・・・たれが古いほど、老舗としての沽券が保てるのである』とあり、美味しい鰻を食べようと思ったら老舗に限るかと得心しました。
「うなぎ 人情小説集」
その他にうなぎ百撰会の店舗紹介なども載っていて、タダでもらうのは申し訳ないような、充実した内容の小冊子でした。
その頃に読んだ短編集「クリスマス・ストーリーズ」(新潮文庫)収載の恩田陸の「柊(ひいらぎ)と太陽」にこんなくだりがありました。『・・・「ひまつぶしです」「それを言うなら、ひつまぶしだろ」・・・』。恩田陸も実は私と同じような経験(雑感 27)をしたのではと、ちょっとだけ親近感が湧きました。
「クリスマス・ストーリーズ」
先月はカミさんの「美味しい鰻が食べたい」に始まり、多くの鰻に関する情報に触れる機会が生じ、妙に鰻に詳しくなった月間でした。
よく言われますが、重なる時は重なるのですね。
ツーさん【2021.11.15掲載】
葉羽 たっ、たまらん。ウナギを喰いに行くことに決めた!