研究所勤務だった若い頃に、時の上司からこんな話を聞きました。
共同開発先の某社の研究所に行ってきたが、所長室に「幼い男の子が便座に座り、その前にトイレットペーパーが描かれている絵」が飾ってあった。
そしてその絵には「No job is finished until the paperwork is done」と記してあったと。
意味するところは、研究とは、一連の実験が終わった後で研究報告、論文、特許などを書いてはじめて、終わったと言える。
科学の世界では結構有名な名言のようです。
1987年にノーベル化学賞を受賞したデュポン社のチャールズ・ペダーセンは、自然科学分野のノーベル賞受賞者としては、その当時唯一博士号を持っていない受賞者でした(2002年受賞の田中耕一も博士号を持っていなかったが、後に東北大名誉博士となっています)。
ペダーセンは有機化学の発展に大きく寄与したクラウンエーテルという分子の発見でノーベル賞を受賞しましたが、それに関する論文はアメリカ化学協会の会報誌へ投稿した1報だけでした(頁数は100頁くらいあったと記憶しています)。
1報でしたがペダーセンは書いていたのです。
(チャールズ・ペダーセン)
この「雑感」の中でも何度か「書くこと」について触れていますが、別に自然科学分野に限らず、書くことは大切だと思います。
ツーさん【2018.7.16掲載】
葉羽 全く同感。ボケ防止のためにも必要だよね(笑)