最近は医師作家の小説を好んで読んでいますが(雑感 414)、その略歴を読んで感心してしまう方が何人かいます。
例えば帚木蓬生、東大仏文科卒業後、TBSに勤務。2年で退職し、九大医学部を経て医師、そして作家に。
作家:帚木蓬生
川渕圭一は東大工学部卒後、数社の勤務やひきこもりを経て京大医学部へ、そして医師、さらに作家に。
そう言えば私の大学の同級生も、何人かは卒業後に医学部に入り直し医者になっています。知っている限りで、教養時代の同級生が1人、専門の農芸化学の同級生に至っては4人が医者になっています。
「人生やり直し読本」柳田邦夫
でも一番身近だったのは私の大学の研究室&会社の9年後輩ですね。
私と同じく大学院を落ち、私と同じ会社に入社して、もうすぐ勤続10年というところで、医者になると退職しました。
退職して3浪目の頃には、私の知っている関連会社に再就職の斡旋でもしなければならないかと、先輩としては考えていたのですが、札幌医大に合格したとの連絡がありました。
札幌医科大学
「そうか、渡辺淳一の後輩か」と言うと「誰ですか?それ」と。まあ、受験生には関係ない作家かと。
札幌に旅立つ前日に会社の有志で壮行会を開きましたが、私はそっと、渡辺淳一の「白い宴」(角川文庫:札幌医大で行われた日本最初の心臓移植手術を、当時同大の講師だった筆者がドキュメンタリー風に描いた小説)を渡したのであります。
「白い宴」渡辺淳一
皆、私が逆立ちしても敵(かな)わない経歴ですが、ちょっとだけ思うのですね。初めから医学部に行ってくれれば、東大を落ちずに合格できた人が何人かいたのに、と。
ツーさん【2025.12.15掲載】
葉羽 小さな意味では「転職」もそうなんだろうね。公務員一本で勤め上げた僕には辞めていった仲間たちを見てそう思えるんだよ。