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雑感406 文書チェック・その5




by Tsuji
Reported by Tsuji
MP3"くつろぎ時間" by 音楽の卵
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 アンソロジー「ひと駅ストーリー 乗車編」(宝島社文庫)の中の1編に次のように書いてありました。

「1972年9月下旬、夕方。・・・二名が僕の横を通って前方の車両に移っていった。不意に右から、耳障りな音が漏れ聞こえてくる・・・シャカシャカという雑音は・・・」

 「ひと駅ストーリー 乗車編」

 漏れ聞こえてくるのは携帯音楽プレーヤーからと思われますが、その先駆けであるソニーのウォークマンの発売は1979年です。

 1972年には持ち運べる音楽源としてラジカセ(ラジオカセットレコーダー)があり、イヤホンで聞くこともできましたが、気軽に持ち運べるものではなく、友人との行楽に持って行くような使い方が一般的でした。

 ですので、仮にラジカセを持ってイヤホンで聞いている人がいたとしても、それは非常に希有で、そのようにきちんと書くべきで、上述の文書からそれは窺えません。

  ソニー・ウォークマン

 最近直木賞を取った作品に「・・・文展、もとい文部省美術展覧会は・・・」とありましたが、「もとい」は「前言に間違いがあったことを表し、正しく訂正するために使われる言葉」であり、この場合(省略形を述べ、次いで正式名称を述べる)は「即ち」が適当と思われました。

 正式名称を述べようとして、誤って省略形を述べた、なら「もとい」の使用もありか、とも思いましたが、後に「・・・翌年、第十回文展に出陳した作品・・・」とありますので、やはり「もとい」は誤用と思われます。

  もとい(元い)

 折角の直木賞作品なのに、「もとい」だけが記憶に残り、作品の内容は頭に残りませんでした。

 今は年に150冊以上は読んでいる感じなので乱読と思いますが、結構細かいところも読み込んでいるのかと、妙に感心。

  ツーさん【2025.6.30掲載】

葉羽葉羽 「もとい」しか覚えてない話は笑った。そう言えば、高校の教科書(歴史)に僕が間違いを二つ見つけた話はしたっけ?・・前にも書いたか?


間違い、見っけ!

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