会社勤務で管理職になった頃(平成2(1990)年)からでしょうか、部下の方の書いた報告書などのチェックをする機会が増えてきました。
ワープロが普及した頃で、修正液で消して書き直すなんてこともなくなり、気兼ねなく修正することができるようになりました。
初期のワープロ「書院」
私が書いた文書を部下の方にチェックしてもらうこともありましたが、チェック能力確認のために、あえて誤りを入れたこともあります。
例えば薬品が目に入った時の処置は「洗眼」ですが、それを「洗顔」にしておいたりして。
医薬原薬を米国に輸出することになり、FDA(米国食品医薬局)へ提出するDMF(Drug Master File)は米国コンサルタントが書きますが、チェックは私たちが行います。
FDA(米国食品医薬局)
ネイティブの方を相手に僭越ではありましたが、関係代名詞などで主語が長くなり、三人称単数の述語に付ける“s”の脱落を指摘したこともあります。
さて先日読んだ「ペットのアンソロジー」(光文社文庫)の中の1編にこんな記載がありました。
「・・・こうして帰られたのは、十月。母さんの誕生日と重なった週末だ・・・」。
「帰られた」は「帰る」ことの丁寧語ですが、ここは自分のことであり、「帰ることができた」の意ですので「帰れた」の間違いですね。
「ペットのアンソロジー」
「何々することができる」で「ら」が入るのは「何々しよう」で考えればよく、「見・よう」「食べ・よう」「投げ・よう」は「見られる」「食べられる」「投げられる」となります。
「よう」は「ら」が必要の「要」ということですね。文書チェックする方々は誰も気付かずに活字になったということです。
間違いに気付いたことのみ書きましたが、見過ごしている間違いの方がずっと多いのでしょうね。まあ人生、そんなものかと。
ツーさん【2024.9.30掲載】
葉羽 初期のワープロ「書院」は、ウチの(実家の)会社にもあった。使わしてもらったことがあるけど、今では信じられないくらい動作が遅かったなぁ。でも「校正」には便利だった♪