まあまあ最近ですが、校正(印刷物を原稿とひき合わせて字の誤りを正すこと:角川国語辞典より)を巡るあれこれの、53名の作家による「誤植読本」(ちくま文庫)なるアンソロジーを読みました。
「誤植読本」(ちくま文庫)
作家が書いた小説やエッセイの手書き原稿を、植字工が活字を拾って印刷物にする際に、なにしろ手書きですので、よく読めない字もあり、思わぬ誤植になる、なんて話が載っています。
執筆陣は森鷗外、尾崎紅葉、斎藤茂吉、内田百閒、澁澤龍彦、吉村昭、等々となかなかの豪華メンバーです。
それを読んで幾つかのことを思い出しました。作家も含めてほとんどの方が、最近はパソコンで文書を作成しているでしょうから、校正というよりは文書チェックに関わることです。
パソコンの文章チェック
私が初めて有機合成の英語の報文を投稿したのは、大学に留学していた昭和60(1985)年です。著者は指導教官の森教授(雑感 3、52)と私です。
後で気付いたことですが、有機合成では世界的権威の森教授の名前の逆効果なのか、(森教授だから間違いはないだろうと)論文の審査官のチェックが甘く、論文の内容に影響するものではありませんでしたが、化合物の命名に幾つもの誤りがありました(複雑な有機化合物の命名は結構難しいのです)。
もう日の目を浴びることのない論文ですが、赤面の至りでした。
恩師の森謙治先生
2報目も森教授との連名でした(雑感 352 に掲示)が、この時の審査官は実に丁寧にチェックし、こんな細かいところまでチェックしてくれたのかと恐れ入ったほどです。
学位論文は北原武助教授(当時)がチェックして下さりましたが、毎ページ赤く見えるほどでした。
こんなことからも、今まで多くの方のお世話になったと、改めて思ったしだいです。
ツーさん【2024.8.12掲載】
葉羽 僕も仕事で散々やったよ・・議会に提出する「議案」だけどね。「読み合わせ」は二人一組で二チームに廻し、最後にベテランが前年議案と比較しておかしなところが無いか「眺め」を行う。それでも間違いがあって、議員に配布した議案に「紙貼り」で対応する。まだ、あんな事やってるのだろうか?(財政課の時だから40年前だ。)