大学3年からの専門課程に進学する時に私は、農学部農芸化学科(今は名称が変更されています)を選択しました。
理由は「農芸化学なら食いっぱぐれはないだろう」でした。
4年生になると研究室配属となり卒論のための研究を行います。
東大弥生キャンパス
農芸化学には当時研究室が15あり、主流は微生物、生化学、食糧関係などでしたが、それらは覚える事柄が多く私向きではないと思われました。
例えば微生物の酵母の名前でもSaccharomyces bailii、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carksbergensis、Saccharomyces uvarum、Pichia terricola・・・(これらは私が酵母反応を用いる有機合成で使ったから記憶しているだけです)。とてもではないが覚えきれないと感じられました。
私の専門は有機合成化学ということは何度か述べましたが、有機化学はどこまで行っても基本的にC(炭素)とH(水素)とO(酸素)で成り立っています。
高校の化学で習ったエタノールや酢酸エチル同様に、私の学位論文に記載されている、全合成で得られた3つの最終化合物は、まさにCとHとOだけで構成されています。
合成した化合物の一例(筆者提供:詳述はしませんが、CとHとOで成り立っています)
全合成の途中にはN(窒素)、S(硫黄)、Si(ケイ素)、I(ヨウ素)などの入った中間体もありますが、最終化合物はCとHとOです。
さらに触媒では様々な元素を用いました。Cu(銅)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、P(リン)。Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、B(ホウ素)、Li(リチウム)・・・。でも最終化合物はCとHとO。
有機化学の恩師や諸先輩からは叱られそうですが、半分くらいは本当です。あとは笑い話ということで。
ツーさん【2024.6.17掲載】
葉羽 うむぅ・・本当じゃない方の半分を教えてくれると嬉しい(笑)。ちなみに県の採用試験を担当していた時、「農芸化学職」の職員はみな優秀でどこの部署でも使えると言われていた。採用した職員を見て実際そう思った。さすがツーさん優秀だわ。