会社でだんだんと経験を重ねますと、新入社員研修みたいな場で教育的見地から話をする機会が増えました。
「書くこと」の大事さ(雑感 1、12)は、いつもいの一番に話していました。
そして、入社当時の幾分お気楽な話として「イソプロピルアルコール(IPA)の匂いを嗅ぐと初心に帰る」(雑感 258)という話も、惰性に流されるなという意味でよく話しました。
IPA:イソプロピルアルコール
そしてもう一つが「推理力を高めるために推理小説をよく読んだ」という話です。
どういうことかといいますと・・・昭和52(1977)年に入社し、最初の赴任地は長野県の上田工場で、研修の後は、有機合成で製造する品目の技術検討に従事しました。
技術検討には生産性向上などもありますが、一番多かったのは現場でのトラブルへの対応でした。
一例を挙げれば、ある不純物がいつもより多くなると、その原因は何かを調べたりすることです。
大学留学時に有機合成実験に勤しむ筆者30歳の頃(筆者提供)
ある仮定を立てて実験的に検証を進めるわけですが、有機化学的素養は必要なものの、仮定を立てるには推理力が必要と考えました。
推理力を高めるにはどうしたらよいか、考えた結果は推理小説を読むということでした。
当時、森村誠一の「人間の証明」が流行(はや)った頃で、私も一気読みしていて、その他の森村誠一作品も読むことで、すっかり推理小説にはまり、推理小説を読みたいがための言い訳に過ぎなかったかもしれません。
「人間の証明」
森村誠一のみならず土屋隆夫、和久俊三、夏樹静子、松本清張などを読み漁りました。
伝えたかったのは、仕事に対して若いうちから自分で色々考えることが大事ということでしたが、それは言いませんでしたので、単なる笑い話としてしか伝わらなかったのでしょうね。
ツーさん【2024.4.29掲載】
葉羽 僕が一番読むのも推理小説とSF小説だね。どうしてかなと考えたけど、ドキドキ感・ハラハラ感・・つまり「非日常」の世界がいいような気がするよ。