ちょっと前に読んだ重松清の小説「どんまい」(講談社文庫)の33頁には次のようなくだりが。
「・・・青年は大志を抱けなかった。青年は、荒野を目指せなかった・・・」。
初めの部分は札幌農学校クラーク博士の「青年よ、大志を抱け」をもじったものと多くの方が分かると思いますが、後の部分が「青年は荒野をめざす」をもじったものと分かる人はもう少ないのではないでしょうか。
「どんまい」(講談社文庫)
五木寛之の初期の小説名ですが、1967年初出と50年以上前の小説ですし。
13頁には「・・・水原勇気。水島新司の野球マンガ『野球狂の詩(うた)』に登場するヒロイン・・・」と。
「野球狂の詩」
そして185頁には「・・・『巨人の星』です。大リーグボール三号。星飛雄馬が・・・」と。
野球好きの私はどちらも夢中になって読んでいましたが、どちらも知っているのはもう中年以上なのでしょうね。
142頁には「・・・背番号は1。・・・世界の王貞治に草魂の鈴木啓示、いぶし銀の高木守道、小さな大打者の若松勉、・・・桜井輝秀、・・・山下大輔・・・」と。
小さな大打者/若松勉
私は6人とも知っていますが、今でも知名度があるのは王くらいでしょうか。それすらも怪しい?
165頁には「・・・十月十五日・・・巨人の柴田が打ち上げたレフトフライを水上がキャッチして-広島カープは優勝した・・・」と。
広島が初優勝した1975(昭和50)のことですね。長嶋茂雄が現役を引退し(風に吹かれて 219)監督となった年のことで、私はよく覚えています。あの頃はまだ巨人ファンでしたし。
広島初優勝(1975年)
でも上述のようなことを知らなくても、野球を多少知っていれば面白く読める小説と思います。知らなくても、どんまい!
ツーさん【2024.2.12掲載】
葉羽 若松って生涯打率が3割1部9厘で6000打席以上打席に立った打者の中では、未だに日本一の記録だよね(年間打率3割超を12回も達成してるし、一試合4盗塁の記録もあるし)。166センチの身長でよくやったよなぁ。