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雑感319 父の雑感その2




by Tsuji
Reported by Tsuji
MP3"くつろぎ時間" by 音楽の卵
Site arranged by 葉羽

(その318の続きです。)

『・・・次に「コロンブスの卵」という言葉をきいた事があるでしょう。丸い卵をテーブルの上に立てる事など物理的に不可能な事なので、出来得ない事のたとえかと思っていましたが、之は全く反対の意味をもつてる事が初めて分かりました。

 何でも初めにおこなうのはむずかしいが人のしたあとはやさしいことのたとえ。ある人がアメリカ大陸発見ぐらい誰にでも出来ると云ったのでコロンブスは卵を机の上に立ててみろと云い、そんなことは出来る筈がないと言うと卵のしりをつぶして立ててみせアメリカ発見もこれと同じだと云った故事。

  コロンブスの卵

 フレミングのペニシリン発見もこれと同じでブドー状球菌の研究中青かびが生えているとその周囲のブドー状球菌が溶かされる現象に気が付き(1928年)その有効成分を抽出してペニシリンと名付け、第2次大戦中時の英首相チャーチルの肺炎を治したのは有名な話だ。

 凡人は青かびを見るとすぐに破棄してしまうのだが、そこに疑間を持つということが凡人と違う所だ。今では抗生物質など作る事はいとも簡単になってしまった。

 終りに明治の文豪夏目漱石の号の由来について書いてみます。中国の晋書に「石に漱(くちすす)ぎ流れに枕す」という言葉が出てきます。

  夏目漱石

 之は晋の孫楚が山水の間に隠遁して自由な生活をするのに「石に枕し流れに漱ぐ」と云おうとして石に漱ぎ流れに枕すと言い間違えたのを人にとがめられて、石に漱ぐのは歯を磨くため、流れに枕するのはいやなことを聞いた耳を洗うのであるとうまく言い逃れた故事により負けおしみの強いことを言うらしい。

 ちなみに「さすが」という語に流石という漢字を当てたのはこの故事によったものです。

  東北大学黒川利雄教授(学長時代)

 私達東北大学医学部昭和24年卒の恩師黒川教授は内科臨床講義の時も時々論語の古典から色々な言葉を引用されて教えられたものです。

 当時は医学と全然関係のない講義なので興味を覚えなかったが、先生は我々に何を教え、何を言わんとされたのか凡人の私には未だに分かりません。

 以上長々とたわごとで書きしるしてみましたが諸先生方の診療で疲れた後の頭の休養に少しでもお役に立てればと思って書いてみました』。

 
  自宅でカラオケに興じる父(筆者提供)

  ツーさん【2023.10.30掲載】

葉羽葉羽 親父さんもカラオケ好きだったんだ?さすが血は争えないね、ツーさん(笑)


恩師黒川教授の学生時代(後ろに立つ人物)

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