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雑感318 父の雑感その1




by Tsuji
Reported by Tsuji
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 カルテは書くものの父が文章など書くのは見たことがありませんが、福島市医師会報2000年4月号に「老医のたわごと」なるものを寄稿していました。

 一部を紹介します。ちょっと楽させていただきます。

  父の手書き原稿(筆者提供)

『小生大学を卒業してから丁度50年、昨年10月一杯で高齢と健康上の理由から医院を開鎖しました。それから時間的に余裕が出来たので読書三味に耽(ふけ)っております(特に日本史、世界史)。

 吾々が日常使っている会話の中に、その意味や出典を知らないで漫然と使っている言葉が多いようです。それで幾つか私の調べた範囲で興味あるものをのせてみます。

 鬼の雹乱(かくらん)。普段丈夫な人が珍しく病気になるたとえで主にお年寄りが自分で言う事が多い。雹乱とは夏の暑気あたりの腹くだしのことで今の食中毒の様なものだと思われます。私は撹乱(かきみだすの意)と書くのかと思っていました。

  鬼の雹乱(かくらん)

 次は角界のキリン児とか、球界のキリン児という言葉が使われていますが、将来大成する期待がもてる非常に優秀な少年という意味で、中国で聖人が出る時に現れるという想像上の動物で首の長いジラフとは全く別のもので、字も鹿偏で麒麟と書く(杜甫の詩から)。

 ちなみにキリンビールのラベルの絵がそれで首など長くない。実在の動物キリンは首が長くて一際突出しているからと思っていたが、大体中国にキリンなど住んでいる筈がない。

  「キリン」の隠し文字

 次に馬偏の騏驎(キリン)は一日に千里を走るという駿馬で現代のシンザン、ハイセイコーみたい名馬のことだと思われます。騏驎も老いては駑馬(どば)に劣る(戦国策から)。すぐれた人も年をとると活動がにぶってふつうの人にもおよばなくなるの意』。

 以下は次回に。

  ツーさん【2023.10.23掲載】

葉羽葉羽 晩年になると改めて本を読んだり歴史に興味が湧いたりするもんだね。自分の人生の記憶は狭いから、もっと広い人類の「集合知」に触れたくなるんだろうね。


父の雑感

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