武田百合子の「富士日記(中)」(中公文庫)の中にこんなくだりがありました。
「・・・ヘップ履きを買う(ヘップ履きというのは、スリッパにかかとのついている形のサンダルで、もとはオードリイ・ヘップバーンが何かの映画にその形のサンダルを履いて出ていたから、ヘップサンダルといって流行した。それが山梨ではヘップ履き・・・)」。
「富士日記」武田百合子
それを読んで記憶が蘇りました、昭和62(1987)年の夏に有機溶剤作業主任者の資格を得るために聴講した講習会のことを。
講習会は2日で、講師は各日2人の計4人です。
有機溶剤作業主任者講習会
1日目の1人目の講師が、有機溶剤作業主任者の抑えておくべき法律の一つが有機溶剤中毒防止規則であるが、その制定の経緯を説明してくれました。
--昭和30年代初めに、オードリー・ヘップバーンが映画「ローマの休日」で履いていたサンダルを模したヘップサンダルなるものが大流行した。製造の主な担い手は主婦の内職だった。作業には毒性の高いベンゼン(有機溶剤の一種)の入った接着剤を使う。冬の間は火鉢で炭を焚きながら換気の悪い部屋で作業を行っていた。揮発したベンゼンの蒸気が部屋に充満し、死者が出るに至った。以上はヘップサンダル事件と言われた。そういうことを防止するために制定された--
「ローマの休日」
なるほどと思って聴いていましたが、2人目の講師も同じ話をしました。
「さっき聴いたよ」という感じでしたが、2日目の講師2人も同じ話をしました。「ちょっとしつこい」と思うくらいでした。
でも、有機溶剤は危険性を孕んだものであるということが講師の一番伝えたかったこととすると、すっかり術中にはまったということですね。
35年以上経っても鮮明に記憶しているですから。
ツーさん【2023.9.25掲載】
葉羽 しかし、講師が4人とも同じ話をするとは・・互いに打合せしてないんだろうかね。僕ならもっと気の利いた事を・・思い付かない。うむむむむ(笑)