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#030 市民大学体験記-2(トロシンゲン編)

by Rei
Reported by Rei
BGM "明るく楽しく上品に"
by
TAM Music Factory
Site arranged by 葉羽

Rei 受講生が一人減り二人減り、外国人が私ともう一人の二人きりとなったドイツ語講座。

 さて、その後どうなったか?

◆市民大学体験記-2(トロシンゲン編/後編)

 2人だけでは、次の学期は開講されず、vhsで、継続してドイツ語を学ぶ機会はなくなった。

 しかし、vhsは地元住民に向けた市民大学! 外国語の講座がいくつかあることがわかった。

 英語、フランス語、イタリア語、スペイン語 etc. とあったが予備知識があるのは英語だけ。 そこで、英語の講座をとることにした。

 午前中のクラスで、受講生は女性ばかり7〜8人だったと思う。先生は元小学校の教師をしていたという女性、ハーゲン先生。主婦たちのクラスといったアットホームなクラスだった。

 外国人はわたしひとり。珍しさもあってか、みんな親切にしてくれた。

 

 授業は中学英語くらいのレベルで、内容は日常のかんたんな英会話をやってみましょう、というものだった。

 授業の中では、先生の説明はドイツ語でなされるし、わたしにとっては英語を通しての実践ドイツ語会話の練習機会と思うことにした。

 

 今でも覚えているエピソードがある。

 英語の単語 tender テンダー。2人ずつペアの会話練習で、わたしの相手が「Is your meat tender? あなたのお肉はテンダーか?」と訊いてきた。

 「テンダー」と聞いて、すぐ頭に浮かんだのが エルヴィス・プレスリーの歌「ラヴ・ミー・テンダー」。

 恥ずかしながら、テンダーの第一義「(物が)柔らかい」をとっさに思い出せず 「No! 」と答えてしまい、それを聞いた相手の戸惑った反応が忘れられない。

 

 また、授業中、どういうわけか日本の着物の話がでて「日本ではみんな着物を着ているのか?」と聞かれた。

  着物

 当時、南西ドイツ 田舎町のみなさんが持つ日本のイメージは「サムライ、フジヤマ、ゲイシャ」といったところだったのだろう。

「自分でキモノを着ることはできない」と言ったら、自分の国の民族衣装なのに、と怪訝そうだった。

  フジヤマ、侍、芸者

 しかし、キモノに興味を持ってくれたのはうれしかったので、次の授業に、日本から持参した着物と帯を持っていった。

「絹の着物の手触りがいい」とか「錦糸の入った帯はきれいだけども、この長いのどうやって体に巻きつけるのか?」などと、みんな興味津々だった。

 このとき、兄弟子の奥さまがいてくれたらよかったのに、とつくづく残念に思う。

  兄弟子の奥様と私

 ところで お稽古事や習い物の文化があるせいだろうか、日本では趣味として外国語を長く習い続けるのは特に不思議ではない。しかし一般的にドイツ人はそういうことをしないのだ。

 ドイツには「Urlaub ウァラウプ」という長期休暇をとる習慣があり、多くの人はそれを海外で過ごす。

 ドイツは寒い国なので、イタリア、スペイン、ギリシャ、南フランスなど、暖かい場所が人気である。

  Urlaub中・・

 海外といっても、ドイツからはどこも飛行機で2時間くらいで行くことができるのだ。

 その旅行のため、ちょっと外国語を習ったりはするが、旅行が終わればお終い。習いつづけることはない。ビジネス英語のように、仕事に必要であれば、話は別なのだろうが。

  人気旅行先ヴェネツィア

 したがってvhsでも「旅行イタリア語」や「旅行スペイン語」などのクラスはいつも人気がある。

 人気はあるが、旅行後もその言語を学び続けることはまずしない。 ドイツ人の「習い物に対する感覚」は、日本とはまた違ったもののようである。

【2025.5.11掲載】

Rei トロシンゲンでの市民大学を体験して10年後、再びドイツへ赴任することになりました。ということで次回、フィリンゲンでの市民大学体験記♪

(※背景画像:ロットヴァイルのエレベーター試験塔)

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