Rei ”ドイツで生け花”のもう一つの話は、ハンスさんという女性の思い出です。
最初は、ドイツ式花輪リースの作り方を教えてもらったのですが、そこから今度は、私が日本式生け花を教えてあげる流れとなり・・。
◆ハンスさんと生け花(その1)
ハンスさんは、最初のドイツ滞在時、立ち上げたばかりの合弁会社の副社長夫人だった。
ご主人である副社長は、博士号の所持者、われわれ日本人は、彼を「Dr. Hans ドクター・ハンス」夫人を「ドクターハンスの奥さん」と呼んでいた。
ハンス夫人(画像は無い:笑)
余談になるが、ドイツ人はドクターとかプロフェッサーとかいう称号を重んじる。
家の表札にドクター某と書かれていることも多い。呼びかけには必須だ。ドクターをつけないと返事をしてくれない、という話もあるくらい。
表札(例)
「ドクターハンスの奥さん」では長いので「ハンスさん」と書く。
ドイツでの2年目だったと思う。ハンスさんの自宅で、ワインの試飲会があるというので招かれた。
ハンスさんは、ザンクト・ゲオルゲン(St.Georgen)というハイデさんの住むシュランベルクに近い町に住んでいる。
 |
| St.Georgen |
集まったのは10人くらい。
フランス人のワイン業者が、鼻にかかるフランス語訛り?のドイツ語でワインを紹介し、参加者はウンチク傾けつつ試飲し、気に入ったら注文する、という仕組みだ。
ワインの試飲会
もともとアルコールは不得手、それに運転手のわたし。
興味を惹かれたのはワインではなく、ハンスさんのリビングに飾られていた花のリースであった。
何ともいえないアンティークな色のグラデーションの紫陽花をベースに、バラの花が散りばめてある、美しいリースであった。
訊いてみたらハンスさんの手作りだという。
あの頃はまだ、電話だけ。メールもSNSもなかった。
アンティーク電話(独)
お招きのお礼が伝えたくても、カタコトのドイツ語で電話をするのは至難の業。そこで、当時はよく手紙を書いた。
日本から持ってきた和風のレターセットは、珍しいらしくよろこばれた。
和風のレターセット
ハンスさんに、ワイン試飲会招待のお礼状を出したところ「興味があるなら、一緒にリースを作ってみないか?」とお誘いがきた。
電話がかかってきたのだ!! 絶対外せない「日時」だけはよく確認したが、ドキドキだった。
こういうとき「専属運転手でよかった〜」と思う。なぜなら、朝、夫を会社に送り届ければ、日中、車は使い放題だからだ。
ナビなどなかったが、方向音痴のわたしでも行きたい場所には地図を片手に、今思えば、よく行ったものだ。。
午前中は銀行で仕事をしていたハンスさん。
午後に伺うと、すでに材料と道具はキッチンのテーブルに揃えられていた。

半分乾燥した紫陽花と、バラの生花、アイビーの葉、何かの蔓、そして細い針金にフラワーテープ、鋏etc.
初めて作るリース、手取り足取り、丁寧に教えてもらった。あの美しい紫陽花のリースが自分の手から生まれたときは、ほんとうにうれしかった。
【2025.3.2掲載】
Rei そして次回は、ハンスさんに「生け花」を教えてあげる話です♪
|