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#009 もう一つの再会コンサート

by Rei
Reported by Rei
BGM "明るく楽しく上品に"
by
TAM Music Factory
Site arranged by 葉羽

Rei 前回に引き続き、もう一つの不思議な出会い、再会があったコンサートについて書いてみます。

◆もう一つの再会コンサート

 最初のドイツ滞在時、住んでいた町はトロシンゲン(Trossingen)という。

 人口1万5千余の小さな町だが、ここにホーナー社(Hohner)という、世界で初めてハーモニカを作った会社がある。

  ホーナー社のハーモニカ

 ここにはまた、町の発展にも尽くした、創業者の孫の名前を冠した、コンサートホール (Dr-Ernst-Hohner-Konzerthaus)がある。

 建てられたのは1960年、比較的新しい建物で、席数は762と福島市音楽堂より一回り小さい。

 このホールは、当時住んでいたアパートの真向かいにあった。

 ここでも定期的にコンサートが開かれ、Abonnement (アボネマン: 定期会員)になると、いつも同じ席で聴くことができる。

 夫と2人で会員になっていた。福島市音楽堂友の会のようなものだ。

  当時暮らしていたアパート

 われわれの席はステージに程近い位置にあった。

 とある夜、ミッシャ・マイスキーがソリストで、日本では「ドボコン」の愛称で有名なドヴォルザークのチェロ協奏曲がメインのコンサート。楽しみにでかけた。

  当時のミッシャ・マイスキー

 マイスキーはあの巻き毛の長い髪を振り乱しての熱演、彼の汗がとんできそうな距離で聴いた。

 オーケストラはソロに気圧されタジタジといったところ、よく覚えている。

 

 それから二十数年の月日が経ち。。。

 ドイツでは、ゼロのつく誕生日は特別である。ドイツに住むインさんは、その地の習慣にならい、わたしの還暦のお祝いにと Freiburg(フライブルク: 最寄りの大きな町)でのコンサートをプレゼントしてくれた。

 たまたま、ドイツにいるとき、日程が合ったコンサートを選んだのだが、偶然にもまたミッシャ・マイスキーの、あの「ドボコン」がプログラムに入っていた。

 フライブルクのコンサートホールは、最近建てられたというモダンな建物だ。

 クロークもあり、コンサートの休憩時にはワインやソフトドリンクも楽しめる。

 マイスキーもツィンメルマン同様、巻き毛の髪は白くなっていたが、熱演ぶりは変わらなかった。

  ミッシャ・マイスキー

 またしても数十年の年月を経て、ミッシャ・マイスキーと、彼の「ドボコン」と再び出会った。全くの偶然なのだが、とても不思議な気持ちだった。

  Rei【2024.4.10掲載】

(※背景画像:ホーナーのコンサートホール)

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