|
|
その25「西欧の河と道♪の巻」 | |
ピカイチ君の「欧州のまちづくりレポート」のシリーズ第三話でございます。 【川はすべて完全堀込み河道】 山のない平坦な地形こそ地震や洪水と言った自然災害がなく、この大地では社会資本整備に与える影響は極めて大きいと直感。 ロンドンのテームズ川、フランスのセーヌ川、ドイツのライン川、ドナウ川・・・・・そしてその支川、見た限りではすべて完全堀込み河道、堤防はない。 河川縦断勾配は夏井川河口部の1/2000より緩いかもしれない。流量変動も小さいに違いない。 (追調:河口から600kmまで約1/3000、ライン川は1/6000)
流域に占める山地割合も少ないことから洪水も緩慢に違いない。 水田もないことから利水問題もないのだろう。 いつもゆったりした母なる川なのだろう。 ゆったりしたヨーロッパの河川にたたずむと、岸辺で髪をとく妖精の歌声に魅せられた船頭がライン川に溺れてしまったというドイツ民謡ローレライのメロディーを口ずさんでいた。(カッコイイ) 日本の都市はすべて沖積層の河川氾濫原にあるといってよく、ここに堤防を造って土砂災害と河川災害と戦いながら土木技術によってかろうじて住むことが出来るようになっている。 ヨーロッパのこのような緩勾配で完全堀込み河道は日本にはない。 大地自体が古く、山がないから断層もなく地震もないのだ。 もちろんアルプス山麓を除いて温泉もない。 日本の温泉も大きな地震や火山との共存の見返りなのだ。
河川への関わり方も日本が立ち向かう対象であるのに対して、ヨーロッパの川は運河であり、敵から城を守る水郷であり極めて利便性の高い対象なのだ。 河川管理は利水(運河)や環境(水質)上、国際河川として協定し管理されているが、日本ほど緊張する河川管理はない。 「ヨーロッパの川はいいぞ」誰もが日本に戻ると言う。 池の周りの親水と、滝のような川の親水とでは話が全然違うような気がする。 所詮ヨーロッパとは比較にならないのだ。 日本はこの河川の特殊性から大きなリスクを背負って住んでいるということと、限界ある河川管理の重要性、技術の高さをもっとPRすべきなのだろう。 【アウトバーンは有事の滑走路だった】 「すべての道はローマに通じる」 ローマ帝国がヨーロッパを制圧し指揮下におくために馬車と道路が軍事的に必要だった。 幅員は4頭立て馬車が走れる幅で全土がネットワーク化された。 また、雇用確保の公共事業としての意味も大きかったようである。 この平らで広大な大地に高速道路が張り巡らされている。 1920年から本格的な自動車時代に向けて急速に整備された。
イギリスのモーターウェイ(Motorway)、ドイツのアウトバーン(Autobahn)、イタリアのアウトシュトラーダ(Autostrada)、フランスのオートルート(Autoroute)、今回走行した高速道路である。 イギリスが日本と同じ左側交通、他は右側通行、車線数は片側車線5車線速度規制なし。 規制があるとすれば60km以下で走行して追突されたら、オカマされた方が過失責任を追う。 我々が乗った研修の専用バスは150km走行。 この側をベンツが、ゴルフがビュンビュン抜いていく。 道路の脇の風景は雑木林の自然林、線形ほぼ直線、視距は彼方に地平線。 北海道を思い出した。ところが延々と続くから参ってしまう。 ドイツに入ってから、ガイドがヒットラーの功績の最大はこのアウトバーンであり、執政した1945年までの12年間で6,000km整備したことだと言っていた。 とくに有事のための滑走路として要所に必ず4kmの直線フラット区間を整備したことは驚きだ。 高速道路は車だけのものではないのだ。
ヨーロッパ国際道路網はEロードと言われ欧州協定により、ローマを起点にE1~E121まで路線を指定してあり標識基準が統一され、さらに東西方向は偶数、南北方向は奇数と分かりやすかった。 景色に変化がなく標識の役割は大きい。 また、日本では必ずある道路側溝は見えなかった。 自然な窪地が連続す土側溝らしいものだった。 これは道路の横断形状の大半が低い掘り割り形式であることと、縦断勾配が平坦であること、大陸性気象から集中豪雨など少ないからなのだろうと推測した。 イギリス、ドイツは全線無料、フランス、イタリアは建設管理を民間会社が行い有料性、一部採算のとれないところは国により無料であった。 有料区間についてはETC(ノンストップ自動料金収受システム)で出入り口でストップすることはなかった。 次回は、パリの文化の香りをお届けです!
|
Copyright(C) Pikaiti&Habane. All Rights Reserved. |