水の中のナイフ by 真魚
ブルジョアの中年夫婦とヒッチハイクで拾った青年 3人の気だるいバカンスが始まる
全編漂うメランコリックな空気感 3人の心理劇をうまく表現し、 世代や階級のギャップを鋭くついた秀作
当時のポーランドという国の不安、 倦怠を象徴しているこの作品は、 常に問題作を送り出してきた鬼才 ポランスキーの長編処女作である
◆水の中のナイフ(1962/ポーランド映画) 監督 ロマン・ポランスキー 脚本 ロマン・ポランスキー 撮影 イエジー・リップマン 出演 レオン・ニェムチェック(アンドジェイ) ヨランタ・ウメッカ(クリスチナ) ジグムント・マラノウッツ(若者)
アンドジェイ(レオン・ニェムチック)は三十六歳。ワルシャワのスポーツ記者で、美しい妻クリスチナ(ヨランタ・ウメッカ)と安定した生活をおくっていた。彼らは週末を郊外で過すのが常だった。その日もヨットの上で週末を過すため湖に向って車を走らせ、途中ヒッチ・ハイクの青年を乗せた。三人は出帆した。朝食の時青年は愛用の大きなナイフを取り出した。