EUはこの5月1日からEU加盟国が15カ国から25カ国に拡大し、人口は3億8千万人から7千万人増加して日本の4倍弱の規模の4億5千万人の大欧州が形成されました。
2002年12月12日及び13日にコペンハーゲンで開催されたEU首脳会議で、中欧、東欧及び南欧の10カ国が、新規にEUに加盟することが承認され、その後これらの10カ国はEUへの加盟条約に調印し、各国とも条約批准のための国民投票が実施されることになっていました。
ところが、ポーランド、スロバキア、バルト3国などでは国民の間にEU加盟に対する疑問が強く、当初は国民投票で無事に承認されるか懸念されていましたが、その後各国で国民投票など加入の手続が順調に進み、予定通り5月1日に加入が実現しました。
これで、かねてからの懸案であった所謂「EUの東方拡大」が実現したわけで、これは、2002年1月のユーロ通貨の導入と並ぶEUの歴史にとって画期的な出来事です。
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EUの東方拡大
←ピンク色が新規加盟国 |
新規に加入が予定されている10カ国とは、中欧及び東欧のポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの4カ国、第1次大戦後独立国になったにもかかわらず、第2次大戦で旧ソ連に併合され、それ以来旧ソ連の支配下にあったバルト諸国であるエストニア、ラトビア、リトアニアの3カ国、内戦後の混乱が続く旧ユーゴスラビアからは内戦の悪影響がほとんどなかったスロベニアのみの1カ国、南欧の地中海諸国からは、マルタとキプロスの2カ国となっています。
逆に今回加入が除外された国を見ると、白ロシア、ウクライナなどの旧ソ連諸国は当然として、改革が遅れているルーマニア、ブルガリアの2国、冷戦時代には最も自由化が進んでいたにもかかわらず、連邦解体後の内戦で荒廃した旧ユーゴスラビア連邦のほとんどの国々、即ち、セルビア及びモンテネグロからなる新ユーゴスラビア連邦、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、それに、混乱が続くアルバニアとなっています。
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アルバニア共和国
(サランダの海岸線) |
このうちルーマニアとブルガリアについては、今後の国内体制の整備などが順調に進捗すれば、2007年をめどにEU加入が実現すると見られています。
(←さて、問題はロシアだな・・・。)葉羽
【新規加盟10カ国の人口及び面積】
国 名 |
人口(万人) |
面積(万平方キロ) |
首都(人口;万人) |
エストニア |
144 |
4.5 |
タリン(43) |
ラトビア |
232 |
6.4 |
リガ(74) |
リトアニア |
350 |
6.5 |
ビリニュス(58) |
ポーランド |
3,830 |
32.3 |
ワルシャワ(164) |
チェコ |
1,027 |
7.9 |
プラハ(120) |
スロバキア |
541 |
4.9 |
ブラチスラヴァ(44) |
ハンガリー |
1,014 |
9.3 |
ブダペスト(210) |
スロベニア |
199 |
2.3 |
リュブリアナ(33) |
マルタ |
38 |
0.03 |
ヴァレッタ(1.6) |
キプロス |
87 |
0.93 |
ニコシア(19) |
(※キプロスについては、キプロス全体について記載しています。)
(2004.5)
《リニューアル配信:2019.9.29》 nemoto |