今回の記事は2005年5月に書かれたものです。
鞍馬 コンビニトレンドで、以前「仮面ライダー響鬼(ヒビキ)」のことが少し話題になっていました。
■ アマゾン以来の斬新さ
私も毎週ではないですが、子ども達と一緒に見ています。
音楽、映像ともにすばらしいです。敵は今のところ悪の科学者などではなく、森の中に住む妖怪たちです。
自然に対する畏怖の念が根底にあり、かっこいいと言うより、「なんだかちょっと怖い」部類に入ります。
しかもこのライダーはこれまでの虫モチーフではなく、名前からもわかるとおり「鬼」です。
さらに変身もこれまで定番だったベルトではなく、音叉(よく小学校の理科で「共鳴」の実験をするために理科室においてある、Y字方の金属棒)で行い、あまつさえ武器は太鼓のバチと、子どもがもらっても遊びづらいんじゃないかと心配してしまいます。
今回は、虫モチーフと巨大な赤い目の両方を外した異形のライダーです。初めて虫以外をモチーフにした、仮面ライダーアマゾン(モチーフはオオトカゲ)以来の、かなり斬新なことをしたなと思います。
一方で、この番組を見ていて、いつも大きな違和感を持つところがあります。
■ 軽すぎるヒーロー響鬼
仮面ライダー響鬼を見ていて、とても違和感を持つところ、それは、「主人公達が軽すぎる」ということです。
主人公は、どこからとも無く妖怪(魔化魍:マカモウと呼ばれる)の情報をつかむと、アシスタントの女性を伴って森へと出かけ、そこでロボット風の動物たち(陰陽師の式神のようなもの)を放ちます。
その後森の中でキャンプを張り、コーヒーなど飲みながらロボットたちが妖怪を見つけてくるのをひたすら待ちます。
妖怪を見つけたらばすぐさま駆けつけて、多少のピンチの後、決め技で淡々とやっつけます。
時には顔だけ変身を解いて談笑したり、初対面の少年に正体をあっさり明かしてアシスタントの女性に小突かれたりもします。
主人公のキャラクター設定、鬼に変身して妖怪を倒すというシステム、そしてそれを取り巻く人たちがあまりにも軽いのです。
■ 戦士 誰がために戦う
ヒーローであれ何であれ、誰かの命を奪うには、相当な理由が必要です。妖怪相手に自らも命をかけて戦っているのであればなおさらです。
ヒーローものの番組は、子どもに愛とか、正義とか、勇気を知ってもらうために、大人にそれを思い出してもらうために存在していると考えています。
ただ強いだけでなく、傷つき打ちのめされても立ち上がる姿が共感を呼ぶのです。
仮面ライダー、ウルトラマン、戦隊ヒーローは、その金字塔です。
しかし響鬼には、里に下りてきた熊を追い回す地元猟友会程度(現実の世界では十分立派ですが)の正義感しか感じられません。