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 その31 判決予報士という仕事 

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鞍馬 もう忘れている方も多いかと思いますが、去年の末ごろ、小さな子どもが犠牲になる事件が続きましたね。

■ 抑止力としての刑

最初は小学1年生の女の子が、そしてその直後に生後11ヶ月の赤ちゃんが、夢も定職もないダメな大人の見本のような人に命を奪われてしまいました。

私にも子どもがいるので、親御さんはさぞ無念だろうなと同情してしまいます。

子どもたちも、さぞ痛かったろうなと。

ところで、こういう事件があるたびに、妻と必ず、「刑期はどれくらいかな。」という話になります。

子どもを奪われた親の立場に立てば、「極刑を」と言いたくなったり、「いやいや初犯だから18年がせいぜいだろう。」などと知ったかぶりをしたりもしますが、結局結論が出ないまま、判決が出る頃には時間がたちすぎて、そのうちに他の事件にまぎれてもうどうでもよくなっているというのが実態です。

刑には、犯罪を犯した人を戒める罰としての効果と、「そんな目にあうならば犯罪をしない」という抑止力としての効果があります。

でも判決が出て刑が確定する前に多くの人にその事件自体が忘れ去られて、どれだけの刑が課せられたのかについて、場合によっては報道すらなされないのでは、抑止力としての効果は大きく損なわれます。

適当と思われる刑をいち早く予測し、公開するなど、刑の持つ抑止力として効果をもっと発揮させなければならない思います。

■ 数年先に下される判決を予報する「判決予報士」

そう考えたとき、私が思い出したのは気象予報士という仕事です。

彼らには、天気図を読むという能力があります。気圧配置や風向きなどの科学的な根拠や過去の同様の気象条件の結果から、翌日、場合によっては一週間の天気の移り変わりを予報します。

裁判官も、法律の条文という根拠や過去の同様の事件の判決から、犯罪者に適当と思われる罰を言い渡します。

実際は細かく事件を分析し、情状酌量の余地があるのか、時代の移り変わりの中で、過去の判例をどのように評価し反映させるべきなのかなどを考え合わせた上で、時間をかけて公正な判決を下すのですが、科学的根拠と過去の事例から結論を出す作業には多くの共通点があります。

新聞やテレビのニュースもただ漫然と「○○という事件がありました。」とか、「許せませんね。」と報道するだけでなく、「これは刑法第何条の△△という罪にあたり、5年~10年の懲役となる確率70%、ところによっては15年となる見込みです。」というべきです。

こうすれば、「△△ってそんなに重い罪なのか。」とか、「△△はひどい犯罪なのに15年は短すぎる。法律を変えるべきだ。」といったように、刑に対する新しい認識が生まれるはずです(それともむしろ人権問題になってしまうのでしょうか。)。

子ども達を被害者にも、加害者にもせずに暮らすために、私たちは今何をすべきでしょうか?

ともあれ、このような犯罪が繰り返されないことを祈るばかりです。

鞍馬【2020.5.5 リニューアル・アップ】

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