漕ぎ出せ!人生の大海へ。
 
 その25 冷たい業界 

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  Opinion by Kurama / Site arranged by Habane
“Walking Man” by Music of my Mind

鞍馬 小麦など穀類の価格が国際的に上がっているのを受けて、それを用いた食品や、それだけでなく、肉製品(家畜が穀類を食べて育つから)の価格が上昇しているようです。

それに対して大手小売店は、イオンのように「価格凍結」(冷凍食品だからか?)を宣言したり、逆にそれがメーカーや中小小売店泣かせだと非難したりという攻防が始まっているとも報道されていますね。

ちょっと前ならば、「値段を維持でないメーカーの努力が足りないんじゃない?」とか、「スーパーが勝手に値下げしてる分にはいいでしょ?」と切り捨てて終わりだったと思いますが、実際には小売店とメーカーの力関係があり、一筋縄でいく問題ではないようです。

私が以前参加したシンポジウムで食品流通コンサルタントの方が言っていたことには、「この価格で売れる商品でなければ仕入れません。」という圧力が、メーカーに対して出されているのだとのこと。

そういう構図だと、スーパーが値段をあげないということは、仕入れ価格もあげないということになるので、それってメーカー泣かせだよねというご指摘もごもっともかなと思えてくるわけです。

スーパーが勝手に「自腹を切って」値下げしているのではなくて、メーカーに腹を切らせてるという状況も往々にして発生しているということでしょう。

どこでもそうかと聞かれると、自分で調べたわけではないので、まったく自信はありませんが、詳しく知りたい方は・・・・・・

ぜひ自分で調べてくださいっ!!

 

◆ 自殺を労災認定

冷たいといえば製薬会社の社員が、上司の暴言が原因で自殺したという事件もあったようです(注目されたのは、それが労災認定されたという点ですが・・。)。

その上司も係長さんだから、個室を持っていたわけじゃなさそうだし、体育館の裏とかに呼び出されてネチネチやられたというのでもないのでしょう。

だったら、その現場を見聞きしていたはずの、周りの人は何をしてたんでしょうね?

ずいぶんと風通しの悪い会社なんですねぇ。

私自身、前いた会社で後輩が一人自ら命を絶ってしまった経験があるので、「風通しの悪い会社の先輩社員その1」として事件に関与したことがあります。

しかも「その夜」も背中合わせの席で残業していて、彼を最後に見たのは自分だということで、しばらく自分を責めたりもしていました。

 

◆ 会社なんて辞めればいいか?

確かに新人にしては専任1名で仕事を任せられて大変そうでしたが、みんなそうだったし、上司に罵倒されるというよりは、家族的な雰囲気のグループで、みんながガマン大会をしているような(どんなだ?)雰囲気だったので、今回の事件とはかなり差があります。

当時私も「死ぬぐらいなら仕事なんてやめれば済むことなのに。」と思いましたし、会社を一度辞めてみて本当に「会社なんて簡単に辞められる。」と感じたのも事実です。

でも確かに会社を辞めるのは簡単だけれど、厳しい就職活動を乗り越えてやっと入った会社であることとか、会社を辞めた後の面倒とか、不当な自責の念とかが入り混じって、実際は「会社を辞める」という選択肢を、一番最初に切り捨ててるんじゃないかなとも思います。

私も「一言相談してくれれば」と思ったりもしましたが、相談されたら結局退職を慰留して、さらに彼を追い詰めていたかもしれません。

会社がストレスの原因であることはわかっている、でも会社は辞められない、だからストレスを感じる自分の方を・・・。

「会社なんて辞めればいい。」って思えない感情も、残念ながら理解できてしまいます。

そういう感情って鬱なのか?こういう感情が理解できてしまう自分も異常な精神状態なのでしょうか?

いずれにしても、本人はもういないので、真相は藪の中です。

 

◆ 仕事なんて他人事だと思う

私自身は、そういう精神状態に陥ったとき、「仕事なんて他人事だ。」と思うようにしています。

でもここで言っているのは、「どうせ他人事だから適当にやればいい。」とかいう意味ではありません。

「このつらい仕事をしているのは自分じゃない。自分によく似た誰か他の人だ。その人の物語を見てるんだ。」と思うようにしているということです。

ただの現実逃避ですが、私には効果があります。

少なくともパニックになることはないし、「自分だったらどうするかなぁ。」(ま、自分なんですけど・・。)と冷静な、つまり、やりたくないとか、何で自分がとかそういう感情に流されることなく、アイデアが浮かんできます。

それはそれで異常な精神状態のような気もしますが、仕事の品質は保っていますし、なにより本人がそれで心の平穏を保っているならそれでいいと私は思っています。

仕事と人生、比べることはできないのですが、辞めてしまうのはやっぱりどちらも不幸なことです。

つらい仕事や人間関係に悩まされる人たちが、心の平穏と仕事の質の両立できる自分なりの手段を見つけられるといいのですが。

鞍馬【2020.2.11 リニューアル・アップ】

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