漕ぎ出せ!人生の大海へ。
 
 その8 クリスマス・キャロル 

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  Opinion by Kurama / Site arranged by Habane
“Walking Man” by Music of my Mind

鞍馬 今年も早いもので、残すところあと数週間となりました。

 私の住む街もご他聞に漏れずイルミネーションが瞬き始め、すっかりクリスマス・ムードです。

 最近不況だといわれている一方で、今年のイルミネーションは例年より気合が入っていると思うのですが、みなさんもうやけになっているのでしょうか?

 さて、クリスマス・キャロルといえば、あの守銭奴スクルージおじさんが、過去・現在・未来をそれぞれ暗示する3人の精霊に出会うことで改心するというお話です。

「3人のゴースト」

「3人のゴースト」

 私にしてみると、かの怪優ビル・マーレが演じた「3人のゴースト」(1988年)が思い出されますが、アメリカ社会では、3人のゴーストならぬ「3人の経営者」が、国を向こうにまわして大きな決断を迫っています。

 いわずと知れた、自動車産業BIG3問題です。

◆ 自動車産業BIG3はどこへ行く

 不況のあおりを受けて自動車産業BIG3と呼ばれている企業が、再建のために、政府に支援を求めるなどの動きがあり、ひとまず延命策が認められる方向で話が落ち着いたようです。

 日本でも、自動車需要の冷え込みから一気に減産に転じたり、工場の派遣労働者を大幅にカットしたりという流れがあり、労働者の窮状が連日新聞やニュースで報道されています。

 ホンダがF1事業から撤退するというのも、F1ファンの方にしてみると、自動車業界の不況を象徴する、衝撃的な出来事なのだと思います。

ホンダのF1

ホンダのF1

 少し前なら、トヨタとか本田とか、大手の自動車企業に内定が出れば、本人もご両親も大喜びだったでしょうが、最近はそうでもないかもしれません。

 今のご時勢、子どもたちが安心して就職できる業界などというものは存在しないのでしょうか。

 以前ニュースで流れた映像では、BIG3の経営者たちが、膨大なコストのかかるはずのプライベートジェットで公聴会にはせ参じたことを例に挙げて、彼らの浮世離れした金銭感覚が話題になっていました。

 短期的な世界経済の安定を考えると、大きな企業であるほどつぶしてはいけなくて、つまり、つぶすと不況が加速するので、何とか徐々に徐々にいい方向に向かっていくようにするのがいいというのはわかるのですが、ここまで話がこじれてくると、つぶしてしまって、再建可能な事業だけ、優良なほかの企業(日本企業を含む、アメリカ人にとっての外資系企業とか)に買い取ってもらった方がいいと思うのですが。

ビッグスリー

ビッグスリー

 やはりそのような選択肢は、選びようがないのかも知れません。

 アメリカ自動車産業BIG3は、このひどい悪路を走って、一体どこに行き着くことができるのでしょうか。

◆ CEOの給料を1ドルに

 それに引き換え、日本の航空業界の雄で、同じく再建中のJALの社長さんが安月給でがんぱっているという映像が取り上げられ、Youtubeに掲載されたその動画には、激励のコメントが多く寄せられているという報道もあります。

 記事によれば、JALの社長さんの年収は、同社パイロット並みの900万円台、通勤は基本的にバスなどの公共交通機関で、昼も社食に並んでお手ごろな定食を食べるとのこと。

 私なんかは、こういう報道を聞いても、「パイロットって結構もうかるんすね。」という感想の方が先に出てしまうのですが、冒頭のBIG3のCEOの年収が100億円を超える場合もあるとのことですので、それに比べれば「とんでもなく安い。」ということになりそうです。

 そのような指摘に応じる形で、CEOの給料を1ドルにするという再建案も検討されているようですが、去年おととしも何十億円ももらっているならば、今年のお給料無しでも十分暮らしていかれますよね。

スティーブ・ジョブス

スティーブ・ジョブス

←彼の年俸は1ドルだった。

「儲かってないんだから、去年おととしの給料も返します。」ぐらいやってほしいというのが、私の率直な感想です。

 うちの会社の借金も、誰か肩代わりしてくれませんかねぇ。ま、そんな状況になる頃には、私はリストラされてしまうでしょうが・・・。

◆ 安易な自動車産業呼び込みを避けて吉

 葉羽さんのお住まいの地域では、流行に乗って安易に自動車産業を呼び込むのではなく、業界や地元の大学などと手を組んで、医療機器産業の集積に力を注ぎ、着々と成果を生み出しているようですね。

 高齢化社会にマッチしたいい戦略だと思います。きっと有能な舵取り役がおられるのでしょうね。

医療機器産業

医療機器産業

 さて、冒頭のクリスマス・キャロルでは、スクルージーが、気前よく施しをする好々爺へと大変身をしてハッピーエンドを迎えるわけですが、今回世界が目の当たりにしている大不況には、お金をつぎ込めばどうなるというものでもなさそうです。

 ともあれ、私の子ども達の世代が就職活動を迎えるころには、不況が終わっていることを祈るばかりです。

鞍馬【2019.9.16 リニューアル・アップ】

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