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 その7 9年目の就職観 

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鞍馬 皆さんは、就職活動をしているとき、あるいは就職した直後、働くということをどういうことだと思っていましたか。

 私は当時、「卒業しろと言われなくていい学校に行くこと」と考えていました。

 就職活動終了直後、この話をサークルの仲間にしたとき、「そんな志ではだめだ。」とたしなめられたことを覚えています。

学生生活

学生生活

 私にしてみると、就職活動でさんざん痛めつけられる中で、知らないことがたくさんあることを思い知らされていました。

 また、文系からいきなりシステムエンジニアになったことで、「さぁ勉強するぞ。」という思いが先に立ってしまった結果の発言でした。

◆ 二度目の全否定

 就職後、前の職場の同期に再びこの考えを全否定されることになります。

 ある日の飲み会で部長とその同期が、学生向けパンフレットに載っていたある先輩社員のコメントについて議論をしていました。

 問題のコメントは、うちの会社が「何でも教えてくれる学校のようなところ」であるというものでした。

 私が前の会社を選んだ一番の理由は、その研修制度のきめ細かさでした。

 自分は文系卒だけれど、ここならば一人前のシステムエンジニアになれると信じることができましたし、実際そういう会社だったと今でも思っています。

システムエンジニア

システムエンジニア

 ところが彼の考えは違いました。

「会社は学校とは違う。9年も働いていてまだそんなことを言っている先輩もどうかと思うが、そんなコメントを平気で学生向けのパンフレットに載せている総務もどうかしてる。」

 大学出たての新入社員が、親会社から出向で来ている部長を捕まえてそういっているわけですから相当な意気込みです。

 彼は当時私の一番の親友だったので、その話を横で聞きながら、「会社って卒業しなくていい学校みたいだね。」なんて口が滑っても言ってはいけないなと思ったものでした。

◆ 9年目の就職観

 さて、それから8年が経ち、その同期が激怒した先輩と同じ年齢になった今、私の就職観はどのような変貌を遂げたでしょうか。

 あえて誤解を招くことを承知で言えば、「やっぱり卒業しろと言われなくていい学校」だと思っています。

 ただし、ただ座っていれば職場が自動的に仕事のやり方を手取り足取り教えてくれると考えているわけではもちろんありません。

 これまで8年半仕事をしてきて、やっぱりさんざん痛めつけられました。

 お客さんの要望に応えるためには学ぶべきことがまだまだたくさんあるというか、社内からの要望にも持て余すぐらいです。

 一体いつになったらば一人前と呼ばれるようになるのでしょうか?

一人前

一人前

(違っ・・)

 会社にも定年退職という卒業に似た制度があります。

 果たしてあと30年で足りるのか不安になってしまいます。

 だから相変わらず、就職活動直後に持っていた、「勉強するぞ」という気持ちは強まりこそすれ、決して弱まることはありません。

 誤解の無いように言い直せば、「会社とは、(世の中の要望に応えるために、)自ら学び向上するための場所であり、その最高の教材が職場そのものである。」・・・これが9年目の私の就職観です。

鞍馬【2019.9.1 リニューアル・アップ】

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