鞍馬 人材派遣のパソナが、就職活動に関する悩みを受け付ける無料相談会を開催するという報道を目にしました。
ですが、対象は就職活動を行う本人たちではなく、就職活動に悩む子どもを持つ保護者を対象としているようです。
子どもに早く定職に就いてもらいたいが、どう接していいかわからないなどの悩みの相談に乗ってくれるのだそうです。
パソナにしてみれば、優秀な人材が世の中にあふれてくれないと自社の事業が成り立たないわけで、フリーターというか、就職に意欲を持てない若者が多くいる現状を何とかしようと考えてのことでしょう。
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無料相談会 |
相談に乗る対象が、親御さんということなので、コンサルティングというよりは、カウンセリングの意味合いが強いような印象を受けます。
考えてみれば、このコラムも、将来もし自分の子どもが就職に夢を持てず、進むべき道に迷ったりしていたらば、なんていってあげればいいか考えた結果を載せていこうということで始まったわけなので、「親にできることはある」という前提でつづっている(最近は関係ないことばかりですが・・。)わけですが、考え始めるのが早すぎ(2児とも未就学です。)て、「今できることはあんまりありませんなぁ。」というのが、最近最も強く感じている感情です。
一番いい方法は、「就職活動に悩んでいる子どもになんていってあげようか?」ではなくて、「就職活動に悩まない子どもを育てる」」・・・「育てる」という表現が高邁ならば、「育つように必要な手助けをする」・・・ことだと思っています。
そういう意味では、パソナがやろうとしていることは、泥縄のような気もするのですが、実際子どもが悩んでいる姿を見て、ただ何もできずに放っておくとか、間違った対応をしてさらに冷めさせてしまうとか、そういう結果にならないように、最後の砦としてはそういう努力も必要なのでしょう。
って、私は別にパソナの回し者でも何でもありません。
◆ 結婚マニュアル
さて、先日東京に行く機会があって、電車に乗っていると隣の席の、年のころは30歳ぐらいの女性が、なにやら本を読んでいます。
目次の部分をじっくりと開いて見ていたので、何を読んでいるのかと覗き込むと、どうやら結婚に関する心構えがいろいろと書かれている本であることがわかりました。
その目次に書かれた見出しに、「結婚しても人を好きになるのは悪いこと?」などというサブタイトルを見つけて、なんて書いてあるんだろうかと興味を惹かれる反面、そんなことまでマニュアル化して説明してあげなければならないほど、世の女性達は結婚に対する不安材料を抱えているのかなと驚かされました。
私自身は、結婚に対する焦りを感じる年齢というか、周囲から結婚に対するプレッシャーをかけられる年齢に達するずっと前に、結婚したい女性を運良く見つけることができたので、そのような本のお世話になる必要がなかったわけですが、そうでなかった人たちは、やはり少しずつ年齢を重ねて、そのことがさらに結婚に対するぼんやりとした不安感を募らせてしまうのでしょうか?
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結婚マニュアル |
同僚の年下の先輩(いずれも独身男性)お二方は、結婚に対するマイナス感情が強いのか、結婚そのものや、結婚後の苦労話を引き出したがります。
で、決まって「大変そうっすね・・。」という言葉で締めくくってきます。
彼らが結婚を控えているわけではないので、ちょっと違うかもしれませんが、慢性的なマリッジ・ブルーといったところです。
二人に挟まれて話をしていると、「愛し合ってるから別に大変じゃないけど。」という私の言葉の方がむしろ負け惜しみのようにさえ聞こえてきます。
ぜひとも結婚したいような素敵な女性とめぐり合えば、彼らの気持ちも変わるでしょうし、妥協して結婚するのもお互いに不幸なことなので、逆にそういう異性にめぐり合わないならば、結婚しないという選択を積極的にするのも、あるべき姿ということでしょう。
◆ 結婚と就職の共通点
結婚に関しては、マニュアル本のお世話にならなかった私ですが、就職に関しては、かなりマニュアル本のお世話になりました。
結婚マニュアルを読んでいる人を見かけて、ちょっとどうかなと批判的な感情を持ったわけですが、就職マニュアルのお世話にならずに就職活動を思ったように進めた人たちにしてみると、熱心にマニュアル本を読みふける(電車の中で読んだりはしませんでしたが、)私の姿は、「そんなことまでマニュアル化して説明してあげなければならないほど、この子は就職に対する不安材料を抱えているのかな?」と不可解に思えたことでしょう。
結婚マニュアルも案外読んでみるとなるほどと思えることがたくさん書かれているのかもしれません。
内容も読まずに、どぎついサブタイトルだけを指差して批判をしてはいけないですよね。
ま、いまさら読む気はありませんが・・・。
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就職マニュアル |
ところで、就職って結婚にたとえられることがよくあります。
就職活動を、「相思相愛になって長く付き合える会社を見つけるための作業」と位置づけ、恋愛と同じであると説明しています。
でも実際は、就職活動中に出会った、人事とか数名の先輩や役員の印象は良かったけれど、入ってみたらば組織から奴隷のような扱いを受けるということも良くあるわけです。
私自身がそうだったわけですが、結婚のたとえに乗るならば、彼はいい人だったんだけど、嫁を奴隷視する姑とそりが合わずあえなく離婚といったところでしょうか?
そういうたとえがしっくりくるのも、結婚と就職が似ていると言われるゆえんなのかも知れません。
◆ エンプロイメント・ブルー
結婚と就職がやっぱり似ているのかもしれないと思い返した最大の原因は、就職に不安感を持っている人の反応と、結婚に不安感を持っている人の反応が同じだということに最近気づいたからです。
少なくとも私の周りには複数名そういう人がいます。
わが社に数名、大学院生のインターンが来ているのですが、就職期を控えて、就職活動や、就職後の苦労話を引き出したがります。
で、決まって「大変そうっすね・・。」という言葉で締めくくってきます。
「君らの学校、後ろ向きな人多くない?」と突っ込みたくなるような不思議な世界が展開されており、さながら、マリッジ・ブルーならぬ「エンプロイメント・ブルー」です。
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エンプロイメント・ブルー |
彼らの気持ちはすでにかなり博士課程に進むことに傾いており、そのまま教授や研究職に就くことを希望しているようですが、教授とか研究職とかって「大変そう」じゃないんですかね。
今年度で彼らとはお別れなので、彼らの将来がどうなるかは知る由もないわけですが、ともあれ今後のご活躍をお祈りいたします。
でも、もっと前向きに生きた方が、活躍できる確率は上がると思うんですけどね。
鞍馬【2019.9.16 リニューアル・アップ】
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