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 NO-536 Like A Rolling Stone
毒舌亭Presents
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【常緑音楽館だより】#1426〜Like A Rolling Stone

 不肖・毒舌亭が「紅顔の美青年」だった頃のお話。

 仙台の魚屋さん宅に下宿していたとき、部屋でその数年前に発行された「ミュージック・ライフ」という音楽雑誌を読み耽った記憶がある。

 そこには、編集長の星加ルミ子さん(1966年のビートルズ来日公演の際に、彼らの単独インタビューに成功した伝説の女性)が書いた「ディランの変節に非難、ブーイングの嵐」というような記事が掲載されていた。

 

 人種差別撤廃、公民権獲得を目指す1963年の運動=ワシントン大行進で、アコギ(アコースティック・ギター)を使って「風に吹かれて」などを歌い「フォークの貴公子」として多大な支持を得ていたボブ・ディランだったが、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルで、エレキ・ギターを引っさげてこの曲を歌い、ロック(フォーク・ロック)に転向したかのように振る舞ったことでファンから強い非難を受けたことを題材にした記事だった。

 このときの聴衆のブーイングと、伝統的フォーク・スタイルにあくまでこだわる主催者のピート・シーガーが怒り心頭だったのを見てとり、あわててディランをステージに呼び戻したのが、私もお会いしたことがあり、今年1月に亡くなったフェス進行役でPPM(ピーター、ポール & マリー)メンバーのPeter Yarrow(ピーター・ヤロー, 1938-2025。)さんだった。

 あのステージがディランの一大転換期、飛躍の秋(とき)だったことは間違いない。

 ノーベル文学賞受賞に至るその後の活躍は衆知の事実だ。

 先日から、若き日のディランの姿を描いたアメリカの伝記映画「A COMPLETE UNKNOWN / 名もなき者」が放映されている。

 

 先週発表の第97回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞、衣装デザイン賞、音響賞にノミネートされたが、惜しくもいずれも逃した作品だ(作品賞は、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールも獲得した「ANORA アノーラ」)。  フジテレビ問題や齋藤元彦の関連動画よりも遙かに建設的な作品の筈だ。近く観に行きたい。

 Evergreen Music通算1426曲目は、1965年に発売されディラン最大のヒット・シングルとなったこの曲。

 ♬ Like A Rolling Stone(Remastered)/ Bob Dylan
  https://www.youtube.com/watch?v=8nv65mHSCNE

 さて、明日は「3.11」。あの日は寒かったなあ。

毒舌亭(2025.3.12up)

♬ Like A Rolling Stone(Remastered)/ Bob Dylan

 

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