その4 最後の砦
「家を頼むぞ」
車を降りるとき、それだけを言い残した。
妻はなんにも言わずうつむいたままだった。涙をこらえていたのだ。
※東京消防庁ハイパーレスキュー隊の隊長鈴木成稔氏(53歳)が、“決死隊”を志願した部下たちとともに、水素爆発した福島第一原発の現場に向かう朝。