どうしてこんなに違うのか?
4月6日の朝日新聞に、与謝野馨元財務相の自民党離党報道の文字が踊りました。
いわく「旧態自民に訣別宣言」・・・・“与謝野氏、「打倒民主」”
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与謝野馨元財務相 |
「あっと驚くような若い人を起用しないと」
「国会では政府・与党を攻撃し、野党の役割を果たさないと。」
与謝野氏が強調したのは、2月の党首討論後から主張し続けてきたことでした。
この記事を見て驚きました・・・“おっ!予言どおりじゃないか!”
何が“予言”かと言いますと、欠かさず拝読している元・TBSドキュメンタリー・ディレクター田中良紹(たなか・よしつぐ)氏の政治解説サイト「国会探検」で、20日も前(3月14日)にエントリーされた「液状化する自民党」で述べられたとおりになったからに他なりません。
なお、田中良紹氏は、ネットで日本初の政治専門チャンネル「国会TV」を運営していることでも知られます。
【田中良紹の「国会探検」 液状化する自民党 3/14 より抜粋】
・・・・途中省略・・・・
選挙の時の延長で「子供手当」や「農家戸別補償」や「高速道路無料化」を批判しても、選挙の結果はそれに国民が賛同したことを示している。
そして議院内閣制の国会では党議拘束があるから与党の法案成立を野党が阻むことは出来ない。
自民党がやるべきは、成立を阻止するのではなく修正案を出して国民にアピールするか、でなければじっくりお手並みを拝見し、次の選挙用にそれを上回る政策を出して国民にアピールする事である。
さらに自民党には放置できない課題がある。小泉政治の総括である。如何なる政策を打ち出すにしても小泉路線との関係が必ず問題になる。
それを乗り越えないと党内は一枚岩になれない。
しかも金融危機以降「小さな政府」を主張する政権は世界中ない。
英国保守党もサッチャー路線を放棄した。
そのように自民党関係者に言ってみたが、反応は日本ならではのものであった。
「野党になったのだから、野党らしさを出して徹底的に民主党を攻撃する」と言うのである。
自民党は昔の社会党になると言うことだ。
それでは永久に選挙で政権を取る事は出来ないと私は思った。
社会党は選挙で政権を取らない事を本旨とした政党だから、「何でも反対」で徹底した自民党攻撃をやった。
それにどれほどの意味があったかは歴史が証明している。
・・・・ここまで(以下省略)・・・・
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ジャーナリスト田中良紹氏 |
田中氏の快刀乱麻のような政治解説には、毎度、目からウロコの思いで感心させれているのでが、今回もまた“これだけはやっちゃいかん”ということを、ものの見事にやってしまったのですね。
「打倒民主」…つまり「何でも反対」。
翌日のネットには早速、新鮮味の無いロートル新党などと悪口が書き込まれましたが、政党要件の5人目が集めるのに四苦八苦。
先に離党した鳩山邦夫氏にもそっぽを向かれ、自民党は冷ややか、民主党に至っては「敵失」を歓迎…と散々な評価のようであります。
まあ、そんなことは「わざわざ書いてもらわなくとも知ってる」と言われそうです。
しかし、これを取り上げた理由は、同日の紙面に掲載されたフランス政界に関する記事との対比に興味を持ったからであります。
フランス政界では、任期の折り返し点を過ぎたサルコジ大統領が3月の地方選の大敗を機に急速に支持率を下落させました。
すると、これに見切りをつけた与党「民衆運動連合」の有力者、ドビルパン前首相が新党結成を目指して党内の切り崩しを始めたのです。
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仏ドビルパン前首相 |
【そのドビルパン氏のインタビューから】
◆サルコジ政権をどう評価しますか。
サルコジ氏が何をしてきたか、見つめ直す時期に差しかかっている。
国民は今、不安と苦悩の中にいる。この現実に目を向け、何をすべきかを考えるべきだ。
◆あなたが目指す新党で「民主運動連合」に対抗するつもりですか。
新党は誰に対抗するものでもない。
これまでの政治とは異なる選択肢を提供し、その責任を担うためのものだ。
◆右派を割って出ると、逆に左派を利することになりませんか。
利するのは国民全体だ。
現在の政治が苦境に陥っているのは、ドゴール主義の伝統を忘れているからだ。
この思想にある独立心、国家の意志、国民とともに歩もうとする意識を再生したい。
そこにフランスの未来もあるからだ。
どうでしょう?
まるで田中氏が“こうあるべきだ”と書いた記事をドビルパン氏が読んでいたかのようではありませんか。
あえて何も論評はいたしません。
全く同じ日に報道された日本とフランスの新党記事でした。
《配信:2010.4.8》
葉羽 両者の今後の行方は、果たして…? |