自分は牛をたべてるのに…。
3月10日、鯨肉の寿司を提供したレストランが起訴されました。
場所はカリフォルニア州サンタモニカ。
現地の高級日本食レストラン「ザ・ハンプ」を経営する会社と調理を担当したシェフがその被告人となりました。
まあ、日本人の常識では「何だこりゃ?」ということになるのですけれど、確かに米国内の連邦法『海洋哺乳類保護法』では鯨など海洋哺乳類の売買を禁じていますので、やむを得ないことかと。
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鯨肉寿司
←摘発されたものではありません。 |
ただし気になるのは、その摘発に至った経緯です。
このレストランの鯨肉販売を糾弾する目的で、あるグループが一般客を装って来店。
グループは、鯨寿司がメニューに含まれるであろう「寿司お任せ」を注文して、その経過の一部始終をカメラで隠し撮り。
鯨寿司が出てきたところで気づかれないように持ち帰り、オレゴン州立大学にDNA鑑定を依頼して、めでたく(?)逮捕に繋げたということです。
そのグループと言うのが実は…本年度の米アカデミー賞・ドキュメンタリー賞を受賞した「ザ・コーヴ」の制作スタッフだったのです。
なるほどね。
でも別に、その手法を批判するつもりはありません。
“郷に入れば郷に従え”というのが日本民族の文化ですから、レストラン側に非があったのは揺るがせない事実であります。
だがしかし…一歩国外に出れば話は全く違うのではないでしょうか。
アカデミー賞受賞作品「ザ・コーヴ」は、イルカ漁行っている和歌山県太地町の現場に潜入し、同じように漁の一部始終を隠し撮りした映画であります。
しかも、撮影に気付いた漁協の組合員が拒んだにも関わらず、肖像権を侵害する撮影を強行して逃走。
←(信念を持っているんなら、何で逃げんのかね?)daddy
映画の中では、組合員を『ジャパニーズマフィア』と呼んだり、『水銀汚染を隠すためにイルカ肉を鯨肉と偽って販売している』など根も葉もない事実誤認コメントを言いたい放題。
太地町といえば日本古式捕鯨発祥の地で、歴史的に鯨類を貴重な食料源としてきた町。
「ザ・コーヴ」に対して、町や漁協の名誉を著しく傷つけたものとして地元が抗議したのもむべなるかなというところでございます。
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和歌山県太地町
←「ザ・コーヴ」の舞台となった町。 |
グリーンピースやシーシェパードの問題も同根でしょう。
グリーンピース・ジャパンは、捕鯨禁止をアピールするために宅配会社に不法侵入し、捕鯨乗組員が合法的に持ち帰った鯨肉を窃盗して記者会見をするという“恥知らず”。
またシーシェパードは、南極海で合法的に活動している日本の調査捕鯨船第2昭和丸に薬品入りのボールを投げ込んで負傷させたり、レーザー光線、放水、異常接近などで妨害行為を繰り返し、遂には高速船で体当たりまで仕掛けて来る“ならず者”。
たまたま自分たちのローカルで勝手に決めた法律や価値観を基準に、歴史や価値観が異なる他国の文化を非難する(しかも犯罪行為を犯しながら)~というのは、到底まともな感覚とは思えないのであります。
「ね、そう思いません、F課長?」
「まあ、アメリカでは平気で牛を食べてるワケで…。」
「ですよね!ヒンドゥー教徒から見たらとんでもない行為ですね。」
しかし、僕が悲しいのは、同じように歴史と伝統を持つアメリカのアカデミー賞が、この虚偽と独善にまみれた「ザ・コーヴ」に賞を与えたこと。
いくら映画の中で告発役を担ったのが、あの「わんぱくフリッパー」のイルカ・トレーナーであった人という話題性があったにせよ・・。
審査員もそういう独善的な価値観を支持することを表明したワケですから、心ある人から見れば、アカデミー賞の権威も大きく傷ついたことでしょう。
《配信:2010.3.13》
葉羽 かつての受賞作作品はどれも素晴らしいものであったと思うだけに、現在のアカデミー賞選考の信頼を失わせるような今回の授賞は返す返すも残念でなりません。 |