今回は、本当の「コーヒーブレイク」。

コーヒーが大の好物である。一日に5杯は飲むと思う。今もコーヒーを飲みながら、コーヒーそのものについて思索を巡らせている。
初めて喫茶店に入ったのはいつ頃だったろうか?

僕を最初に喫茶店にいざなったのは、「岸波通信(本編)」の「人生を振り返ってシリーズ」に度々登場する、中学時代の下級生サユリだったと思う。
店はおそらく仲間町にあった「よしな」というパーラー(※現在は閉店)だったろう。
閉店した「よしな」@仲間町
「私はブラックが好きなの」という彼女に付き合って、苦いコーヒーを飲んだ時の衝撃は忘れられない。
「こんな不味いもの!?」・・と思いながら、少しだけ「大人」になれた気がして満更でもなかった。
思えば彼女は、僕にいろいろな「新しい世界」を開いてくれた。「通信」で書いたように、「演劇」もそうだったし「札幌ラーメン」、そして「哲学」や「詩」の世界も。
いわゆる「彼女」という間柄ではなかったが、世間知らずの僕を新しい世界に導く「水先案内人」のような存在だったろうか。
既にボロボロ・・
大学へ進んでからは、仲間と喫茶店で時間をつぶすことがよくあった。当時の大学生は「飲酒・喫煙」は当たりまえで既に大人の仲間入りだ。(※「時効」ということで勘弁してください。)
よく飲んだのはスッキリした味わいの高級豆「ブルーマウンテン」と真逆で野趣に富んだ「モカ」だった。
この二つは、日本蕎麦でいう「更科吟醸蕎麦」と「田舎蕎麦」の関係だろうか。それぞれに味わいが違うがそれぞれに惹かれるものがあった。

コーヒーの味に拘るようになると、コーヒー・サイフォンを購入してアパートに設置した。
初めてサイフォンでコーヒーを淹れるのを見たのは、同級生JUNの下宿だったろうか。
(※別人かもしれない。)
ガラスボールを上下するコーヒーの謎めいた動きに心を奪われて、飽かず眺めていた気がする。

そのうちに自分で豆を挽く「コーヒーミル」も購入した。上部の「クランク」をぐるぐる回して「豆」を挽くのだが、最初は上手く回らない。グラインダーで上手に豆を砕くには「コツ」が必要だった。
そんな事をしてコーヒーを淹れるものだから時間がかかる。だが、その作業に没頭すると、余計なことが脳裏から消えていく。

この「雑念」に捉われず目の前のコーヒーと相対するだけの時間は、とても豊かな時間であるような気がした。
どのうち、凝りだして「コーヒーに関する本」を買いあさった。「美味しい淹れ方」はもちろん、「産地」や「名店」そして「歴史」に関するものまで。

あのまま凝り続ければ「喫茶店のマスター」になっていたかもしれない。
まあ、いずれ「実家の会社」を継がなかればならない立場を意識していた自分には「夢のまた夢」だったろうが。
現在はと言えば、コーヒーと紫煙はそれ自体が目的ではなく「書き物」をするときの無くてはならない「相棒」だ。
石塚真一の『岳 みんなの山』の主人公島崎三歩は、登頂後に必ずコーヒーを淹れて美味しそうに飲んでいた。彼にもまた「登頂」と「コーヒー」は切っても切れない関係だったのだろう。
『岳 みんなの山』
そう言えば、私立探偵フィリップ・マーロウは、とても濃い「泥水のようなコーヒー」を飲んでいた。
手元のコーヒーに目を落としながら、「男はタフでなければ生きていけない 優しくなければ生きる資格がない」などとつぶやいてみる。
フィリップ・マーロウ
うん、やっぱりお前は大切な「人生の相棒」だな。
《配信:2025.11.30》

とりとめのないコーヒーブレイクの雑文でした。失礼(笑)
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