これって童謡「汽車ポッポ」の歌詞だそうですね・・ということで「坂」の話。

世界の「美しい橋」でも特集しようかと探していたら、こんな橋の写真を見つけました。
驚くほどの急勾配!!
これは、フロリダ州タンパ湾にかかる「サンシャインスカイウェイブリッジ」。橋の中央部を高くしている理由は、その下を大型の貨物船などが通航できるようにするため。
たしかに川や海に橋を架ける場合、船舶の通航との共存関係が課題になることがよくあります。よく見かけるのは、こんな「可動橋」(跳ね橋)。
シカゴリバーブリッジ
そして、一部を上下に上げ下げする「昇開橋」。
筑後川昇開橋
さらには先般、義妹のミルクティー嬢が行って来た台湾・高雄の「大港橋」のように、中央からぐるっと90度廻すタイプも。
ミルクティーの『ニイハオ台湾』より
で、こういう工夫をしないで、とにかく高くしちゃえというのが、最初の急勾配橋「サンシャインスカイウェイブリッジ」なのであります。
すると・・実は「急勾配」で更に有名な橋がこの日本にあったのです。
それが『ベタ踏み坂』(アクセルをベタ踏みしないと上がれない急勾配な坂)とも呼ばれる「江島大橋」。その姿がコチラ・・
をををを~ アメリカより凄い!!
この「江島大橋」は、鳥取県の境港市から中海をまたいで島根県松江市までを結ぶ全長1446メートルの橋で、最高点は44.7メートルに及ぶ。
傾斜がもっとよく分かるように、真下から見上げた写真がコチラ・・
とんでもね~!!!
では実際、どのくらいの勾配なのか? ・・調べてみると最大勾配の箇所でも6%。つまり、100メートル進むと6メートル登る計算です。
あれ? 国土交通省の「道路構造令」で定める最大勾配「12.5%」の半分しかない・・ということは、もしかして「錯覚」!?
はい、実際の構造図はこんなふうです。
江島大橋の構造図
至極当たり前の傾斜ですね。つまり「見る角度によってはこう見える」という例なのです。
この場所には元々「跳ね橋」がありましたが、交通量の増加に伴って不便となり230億円をかけて架け替えたものです。

計画を公表した時には「無駄な公共事業」としてやり玉に上がりましたが、その急勾配を逆手にとり「ベタ踏み坂」としてテレビCMを流したことで空気が一変。
英国の新聞で「テレビゲームのマリオカートを思い起こす橋」と紹介され、現在では世界中から観光客が押し寄せる名所に。世の中、何が幸いするか分からないですね(笑)

さて、この話はここで終わらない。
この「江島大橋」は錯視もあっての急勾配ポイントでしたが、実際に信じられないほど急勾配な「一般国道」が存在しているのです。
その名も「暗峠(くらがりとうげ)」・・名前からして怪しいですが、東大阪市から奈良県生駒市を結ぶ「国道308号」の難所にあたります。
あまりの急勾配、そして隘路のため「軽自動車に2人以上乗ると登れない」・「初心者ドライバーは登坂厳禁」など怖ろしい伝説があるのです。その実態がコチラ・・
ん!? これ「ガケ」だよね? これが一般自動車道で国道!?
特に勾配がキツイのは、東大阪側の麓から峠までの2.5キロ区間。その間の最大勾配はなんと40%と言うから驚き。
この急勾配のためロードバイクのヒルクライム・コースとして人気だそうですが、流石に最大難所ではロードバイクが「縦にひっくり返る」ので、手押しするしか方法がないとのこと。

なぜこんな道が「国道」として残っているのか?
実はこの道路は、伊勢参りの参拝道や江戸時代の参勤交代路として用いられていたもの。歴史的な重要通行路なので「国道」として位置づけられたのでしょう。
その語源については、樹木が鬱蒼と茂る道であることから「暗がり峠」・「闇峠」と呼ばれたという説もあり、上方落語『伊勢参宮神乃賑』の枕では「あまりに険しいので馬の鞍がひっくり返りそうになることから、鞍返り峠と言われるようになった」とも語られています。

現在は、東大阪市と生駒市をショートカットで結ぶ自動車専用道路が整備されて交通量も減りましたが、峠には茶屋や集落もあり、前述のようにヒルクライム・コースとして人気を博しているのです。
さて、「坂」を調べているうちにこんなものも見つけてしまいました・・「世界で最も急勾配な鉄道」! それがコチラ・・
ピラトゥス鉄道
これはスイスにある山岳鉄道(ケーブルカー)の「ピラトゥス鉄道」。その勾配はなんと48%(およそ24度)。つまり、1メートル進むと48センチメートル登ることになります。
もう、100メートル進んで6メートルしか登らない「江島大橋」は真っ青ですね。
しかあしっ!! 既にこの記録は更新されていました。
現在、世界最勾配なのは同じスイスに造られた「シュトース鉄道」。こちらの最大勾配は60%(およそ31度)。それがコチラ・・
ありえね~!!!
この客車に見える「〇〇〇〇」の構造に注目。このくらい急な坂になると客席を水平に保つことは不可能なため「角度に応じて可動」し水平にする機構が組み込まれているのです。
この機能に拠り、山麓駅からシュトース山頂駅まで1720メートル、高低差744メートルを約4分で高速移動する間、乗客は急勾配を登っている感覚が全く無いのだそう。
う~む、人生、山あり谷あり・・つまり「坂」もあるってことだな。
《配信:2025.5.18》

坂と言えば「ささか、さかさか、飯坂へ」という『飯坂小唄』が思い出されます。飯坂温泉の「飯坂」ってどういう意味だろう。今度、調べてみなくちゃ(笑)
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