ガラス床の愉悦と恐怖。

世の中、可視化・透明化の重要性が叫ばれるせいか、ガラス張りの建築物が多くなって来ました。
僕の古巣である県立医科大学でも街中に新設した保健科学部はこんなふう。
壁面ガラス張りの保健科学部
最近は「曲面強化ガラス」なるものも出現しまして、海外ではこんな美しい建築物も造られるようになりました。
ところが「壁面」ではなく「床面」にガラス材を用いるようになりまして、一般家庭用でもこのようなガラス・フロアリングが出始めているのですね。
施工例1
施工例2
主に二階部分や階段の踊り場に設置され「階下の採光用」ということですが、高い所が苦手(だけど大好き?)な僕にとっては、ちょっと考え込んでしまいます。
そこで思い起こされるのが、高層ビルに「お約束」のように設置されているガラス・フロアリング。
去年だったか、『冷静と情熱の間に』のホンチさんが行って来た「あべのハルカス」展望台はこんなふうでした。
をを~コワ! すでに背筋がゾクゾクして参りました。
で、東京スカイツリーの方はこんな・・
意外と怖くない。万一割れても太い鉄骨に捕まれる安心感でしょうか。
なお、展望デッキ自体はこんなふう・・
スカイツリーの展望デッキ
これが海外となると、ことさらに怖さを演出して来る。
例えば、バンコクの「キングパワーマハナコン」。ところどころ崩壊したようなデザインが目を引く高層建築物です。
「キングパワーマハナコン」
おや、一番上に何かあるぞ? ということで上がってみると・・
どわ~っ!! 一枚ガラス!?
もはや「展望デッキ」ではなく「スカイウォーク」と呼ぶのだそうですが。
写真を撮っているお母さんは、かなりへっぴり腰になっています。(気持ちは分かる)
←それをまた撮ってんの誰だよ!
そしてもう一つ、別の意味で怖いのは、メルボルンの「ユーレカタワー」。
ユーレカとは、ゴールドラッシュ時代の反乱の名前にちなむそうですが、最上階にある展望デッキはごく普通のもの・・しかしっ!!
「ユーレカタワー」
それとは別に「ザ・エッジ」というアトラクションがあり、一部屋だけ中空にせりだした小部屋があります。でもそれは「くもりガラス」に覆われていて何も見えません。
「何なんだ」と曇りガラスの部屋に入って行って後ろのドアが閉まると・・突然「くもり」が張れて透明になり、その瞬間、驚愕MAX!!
こういう「時間差攻撃」はキツイですよね~
さて、さらに最近では、スカイウォークに留まらず、高層ビルにガラスのすべり台を造っちゃおうという動きが顕著に。
まずは、LAにある「スカイランド」というアトラクション。
高度300メートルの空中で全面ガラス張りのコースを直滑降。コレは怖い!
両脇にもガラスが貼ってあるんだよなぁ・・でなきゃ怖すぎる。つか、最後はどうなるんだろ?
そして、ドバイに造られた「スカイ・ビューズ」はビルの53階から滑り出す世界一の高さのガラスすべり台。
ドバイ・スカイ・ビューズ
てか、コレも「行く先」が気になってしょうがないんですけど(笑)
で、そう言う話を聞くと黙ってはいられないのが中国。何でも「世界一」になりたいと造ったのがこちら、長さ1000メーターのガラスすべり台。
「高さ」では叶わないと「長さ」で来たか!
こちらは水を流しながらゴムボートで降りて行くんですね。
しかし・・こちらは客どうしが衝突してすべり台が崩落、7人が死傷するという悼ましい事故が起きてしまいました。
崩落個所
一方、「高さ」でも負けたくないので、橋だったら造れるんじゃないかと湖南省の「張家界」という場所に架けたガラス橋がこちら・・
高さが300メートル、全長430メートルという長大なモノ。橋自体は驚くことはありませんが、コレが「全床面ガラス張り」なのですよ。

本当に大丈夫なのかということで、事前にハンマーで橋を叩いてみるという検証までやってみた。
どうだ?
結果として、ヒビは入ったが割れなかったので大丈夫(!?)としてオープン。連日1万人という大勢の客が押し寄せたのです。
大勢の観光客
そして二週間後、やはりと言うか、またかと言うか、ガラスが割れて崩落し、多くの犠牲者が出てしまいました。(懲りないよな~)
橋上に取り残された男性
現在、このガラス橋は閉鎖中で、改修が行われているとのことですが、再開は何時になることやら。
中国では他にも広西壮(チワン)族自治区のガラス桟道が崩落した事故もあったし、危ない事、この上ない。
北京郊外には、こんなガラスのスカイウォークも造っているけれど、大丈夫なんだろうか?
くわばら、くわばら・・
《配信:2025.5.5》

最初は「世界のガラス建築」で行こうと思いましたが、「美しい」より「怖い」方が面白いと思って軌道修正しました。最近、こういうこと多い(笑)
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