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 その144 空中線状都市THE LINE
「モーニングコーヒー」Benchi time

 サウジアラビアが建設中の超未来都市。

 「NEOM」とは、サウジアラビアが計画を推進している超未来都市建設プロジェクト。

 最初の三文字NEOは新しいの意、最後のMはアラビア語の”未来”を意味するモスタクバル(mostaqbal)の頭文字、すなわち『新しい未来』を表す4つのプロジェクトです。

 そのうち、3年前に発表され現在建設が進められている「THE LINE」は、海抜500mで幅が200m、長さが何と170kmにも及ぶ収容人口900万人の超高層の「空中線状都市」。

 高さ500mと言えば、102 階建てのエンパイア・ステート・ビルの尖塔上部よりもさらに高い。(※「THE LINE」完成予想図↓)

 建設場所はサウジアラビア北西部、紅海沿岸の砂漠地帯。”ツインタワー構造”と呼ばれるが、上の完成予想図のとおり長大な二枚のプレートを並べ、それらを繋ぎ合わせた形。

 

 そのうち居住部は、二枚のプレートに挟まれたエリアの太陽光が当たる最上部(空中都市)にあり、生活に必要な施設には5分以内でアクセスできる。

 また、170kmの端から端までは、高速輸送システムに搭乗し20分足らずで到達できると言う。

 せっかくなので、ほか3つのプロジェクトついてもご紹介したい。

 二つ目が、人工リゾート都市の「TROJENA」。アカバ湾から50kmほど離れた山岳地帯に建設される予定で、一年中滑ることができる人工スキー場、人工淡水湖、ヴィラ、超高級ホテルが立ち並ぶ。

 こちらも最大900万人居住の新都市とする計画。

 なお、人工スキー場については、2029年のアジア冬季競技大会の会場となることが決定している。


 次の3つ目は、世界最大の浮体構造物となる八角形の海洋リゾート都市「OXAGON」。

 ヨーロッパからアジア、アメリカ東海岸までを結ぶ世界海上貿易の要衝であるスエズ運河のすぐ南側紅海上に建設予定で、人口想定は約90万人。100パーセント、クリーン・エネルギーで運営される。


 そして最後が、ハイテク海洋リゾートの「SINDALAH」。

  ”ラグジュアリー・ツーリズム”を標榜し、86の係留所を備えたマリーナと75の沖合ブイ、三つのホテルが運営する750部屋の客室やアパートメントを提供する。

 

 島にはウェルネスセンターやスパ、ヨットクラブがあり、スーパーヨットの寄港地となる事を想定している。

 ~と話を聞いただけで、かなりバブリーな気分になるが、ここで、話を最初の「THE LINE」に戻そう。

 実は、今となっては知る人も少ないだろうが、このアイディアは30年ほど前に日本で提唱されていたのです。それも福島県で。

 プロジェクト名を「ABC構想/阿武隈ベルトシティ構想」といい、福島県商工会議所連合会が提唱したもので、東京から仙台までをリニア鉄道で結び、そのリニア路線を軸に幅数キロ、長さ数百キロの「ベルトシティ」を建設する構想でした。

葉羽 当時、県のリニア担当だった僕が直接説明を受けた。

 今にして思えば、荒唐無稽と聞き置いた話でしたが、まさか同じ構想がサウジアラビアで実現されようとしていると知り驚愕。(パクリじゃないよな:笑)

 NEOMが言う「超高速輸送システム」とは、おそらくリニア技術を用いる想定に違いありますまい。(遠い眼)

 そして外観からすると、銀色の無機質な鏡張りにしか見えない外壁ファザードは、実は透過性で太陽光を十分に取り込むことができ、都市内部は緑に溢れている。

 うむ、凄い。凄すぎる・・。

 生活エリアとなる上部の風景はこんなふう。

 通常の都市風景となんら変わりがない。そしてこのふんだんにある「水」・・水?、砂漠なのに水!?

 これは海水から真水を抽出方法で得られるもので、塩分を海に戻すと海水の塩分濃度に影響を与えるため、塩は塩として再利用されるとのこと。もちろん真水もリサイクルが前提。

 

 域内道路は徒歩や自転車で、垂直移動は「空飛ぶ車」で、そして、10キロ程度の"壁内移動(旅行)”は「グループ・シャトル」が担う。

 それ以上の区間の高速移動は、THE LINEの下部に埋設された(前述の)「高速移動システム」で行うと言う。

 

 素晴らしい。実に素晴らしい未来都市「THE LINE」!

 900万人と言えば、ロンドン(約 1600 km2)の人口とほぼ同じ。それを垂直・線状都市にすることで、たったの34 km2で収容する。うむむむむ・・。

 しかあしっ!!?

 このNEOM構想、建設が始まっているものの、様々な要因で計画変更を迫られているという情報も。

 「THE LINE」の建設現場

 う~ん、そうですよねぇ。「THE LINE」だけでも170キロメートルに及ぶ巨大構造物を造るのに、どれだけの費用がかかるのか見当も付かない。

 しかし一方では、山岳リゾート都市「TROJENA」の人工スキー場を2029年のアジア冬季競技大会の開催まで間に合わせなければならないし・・。

 「TROJENA」の人工スキー場

 どうなるんだろう? 続報を注視して行きたいと思います。

 《配信:2024.5.13》

葉羽 サウジでは、これらの他に垂直高2キロメートルに及ぶ超・超高層ビルプロジェクトも動いています。ドバイもうかうかしてられないネ!

 

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