地底に眠る湖。
湖と言えば琵琶湖、福島県人なら猪苗代湖が浮かびます。では、世界最大の湖は?
はい、ロシア南部からカザフスタンを経てイラク北部まで至るカスピ海ですね。その大きさは表面積で374,000k㎡、日本の国土面積とほぼ同じと言いますから驚きです。
しかし地球上には、まだまだ知られていない湖が存在します。それは地底湖。
例えば、近年、イギリスのチームによって発見されたベトナム奥地のハンソンドン。
地下を流れる急流によって形成された長さ9km、幅200m、高さ150mのハンソンドンは世界最大の洞窟で、内部には巨大な水系ばかりでなく地下の湖が存在します。
ハンソンドン@ベトナム
公開されてまだ10年ほどですが、洞窟の入り口に辿り着くまで一週間を要し、さらに推移の上昇によって半年は洞窟ごと水没してしまうため、内部を訪れた人数はエベレストの登頂者よりも少ないそうです。
次は、米国最大の地底湖で、その名もロスト・シー(失われた海)。
1905年に、13歳の少年アーロン・ヒギンボサムによって発見されたこの地底湖はテネシー州のクレイグヘッド洞窟の奥深く、地下42メートルに存在し、長さ240m、表面積が約16,000㎡あります。
かつては核シェルターとして指定されていた時期もあり、現在は多くの観光客が訪れ、鍾乳石に覆われた美しい景観を楽しんでいます。
一方、ヨーロッパ最大の地底湖がスイスのヴァレー州にあるサン・レオナール地底湖。
長さ300m、表面積約6,000㎡のこの湖は、1946年の大地震で内部水量が減ったため、ようやく内部を探索できるようになりました。
2000年代に天井崩落事故が起こり、補修のため数年間閉鎖されましたが、現在は多くの観光客が訪れる景勝地の一つになっています。
続いて、中国桂林市の北西、地下240メートルにある盧笛岩。
地底湖を湛えたこの洞窟は「自然の巨大芸術宮殿」とも呼ばれ、美しくライトアップされた内部には「雪の中の松」、「キノコの丘」、「龍の塔」、「天を削る双子」などの名前が付けられた岩が。
中でも「竜王の水晶宮」と呼ばれる洞窟には1000人ほど収容でき、太平洋戦争中には防空壕として使われていました。
洞窟の壁面には、紀元前792年の唐朝期に墨で書かれたと伝わる碑文が残されています。
さて、地底湖と言うより「巨大温泉」があると言った方が相応しいのが、アイスランドの天然洞窟温泉グリョゥタギャウ。(発音しずれー!)
グリョゥタギャウ
ここは、世界中でヒットした『ゲーム・オブ・スローンズ』の熱いラブシーンで有名になった場所。
『ゲーム・オブ・スローンズ』
もともとアイスランドは天然温泉の宝庫と呼ばれるくらい温泉が多い土地柄ですが近年の火山噴火でも分かるように危険な場所が多い。
このグリョゥタギャウ天然温泉も水温が50度以上あって危険なため、入浴禁止とされています。
でもまあ、飯坂温泉の激熱風呂に入る人たちなら平気かも。(「禁止」です!)
そして次は、地底湖というよりも水中洞窟系と呼ぶ方がふさわしいメキシコのユカタン半島地下を346kmに渡って連なるシステマ・サック・アクトゥン。
マヤ文明のトゥルム遺跡があるこの地域には、元々サック・アクトゥン(全長263km)とドス・オホス(全長83km)の二つの水中洞窟系が知られていましたが、近年、これら二つが繋がっていることが判明し、「世界最大の水中洞窟」として認定されました。
346kmと言うと東京から仙台くらい。とてつもない洞窟があったものです。(だから「世界一」なのですが。)
洞窟は無数のセノーテ(陥没穴)で地上と繋がっており、その光に導かれながら洞窟内をダイビングできる水中遊泳のメッカとなっています。
洞窟内をダイビング
2018年に、ようやく全体の詳細地図が完成した模様です。
さて、今回のラストは地底湖ならぬ氷底湖(氷床の下にある地底湖)。
場所は南極大陸で、長さ250km、幅50kmという面積はカナダのオンタリオ湖に匹敵(琵琶湖の約20倍)するボストーク湖。
もちろん、氷の下にある湖としては世界最大。その名の通り、ロシアのボストーク基地近郊の地下(氷床下)に存在します。
ただし、氷床下4000メートルに存在するため直接的な画像は無く、1960年代後半から70年代初頭にかけて行われたロシアのRADARSAT衛星の氷透過レーダー探査で、存在が確認されました。
1998年、ロシア・フランス・アメリカの共同チームが、深度3,628メートルの地点までコアの掘削と分析を行なった結果、ボストーク湖は50万年から100万年にわたって氷に封印されていた事が判明。
つまり、その内部に生態系があるとすれば、極めて長期間にわたり独自進化している可能性があるのです。
そこで、(淡水とみられる)湖水の汚染を防ぐためにコアの掘削は湖水の境界面まで120メートルの地点で停止されました。
その後、2005年。ドイツ・ロシア・日本の調査チームにより、ボストーク湖の内部に「島」があることが判明。(独自進化した地上生物の可能性も?)
そして2013年2月、ロシア北極南極科学調査研究所(単独)は再掘削を開始し、1989年の掘削開始以来初めてドリルが同湖に達したと発表。
さて、それから10余年、ロシアから生態系に関する発表はなされていません。何故! どうして! ま・・まさかっ!?
《配信:2024.4.29》
このことを知ってから、気になって夜も眠れません(笑) |