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 その132 海の上の湖
「モーニングコーヒー」Benchi time

 海の上に湖がある場所。

 世界中を釣りして歩く旅人に「もう一度行きたい場所はどこか?」と尋ねると「フェロー諸島!」と即答したそうです。

 そこは”川で釣りをしていると海が下に見える場所”、そして”海の上に湖がある場所”、”北半球で最大の滝がある場所”、”森林限界で森の無い島”、デンマークの遥か北方にある島国フェロー諸島です。

 百聞は一見、下が”海の上にある湖” ソルヴァグスヴァテン湖。

 をををを~ 確かに!

 切り立った高い崖の上ギリギリまで湖が迫っているではありませんか。

 そしてコチラは”川で釣りをしていると海が下に見える場所”。

 

 どこにあるかと言いますと、イギリスとノルウェー、そしてアイスランドの中間にある北大西洋上。

  フェロー諸島の場所

 デンマークの自治領ですが、かなり母国デンマークとは離れている?

 いえいえ、驚くにはあたりません。デンマーク王国を形成するのはデンマークとフェロー諸島の他にグリーンランドも含まれるのですから(笑)

 さらに、フェロー諸島はどんな島から構成されているのか・・それがコチラ。

  フェロー諸島

 最初の写真を、もう少し引いて観ると、さらに不思議さが際立ちます。

  ソルヴァグスヴァテン湖

 うん、三日月形の湖なんですね。

 そして、湖のほとりには放牧された羊たちがのんびりと空を眺めています。

   湖畔の羊たち

 そもそも『フェロー』というのは”羊”の意味という説が有力だそうで、諸島内には何と9万頭の羊が放牧されています。

 というのも島々が寒冷で、牧草以外の農耕に適さないという事情があるのですが。

 ソルヴァグスヴァテン湖の海抜は、30メートルしかありません。

 湖と崖を一望するとこんなふう・・

 

 目も眩むような断崖ですね。

 ここはフィヨルド地形ですから島全体がこんな感じ。ということは、この写真が撮られたこちら側の足元も当然同じ断崖。(おーまいがー!)

 風の強い日に、命からがら撮られた写真ですから、現地ガイドなしに観光気分で行ける場所では無さそうです。

 そうそう・・海が荒れるとどうなるか? ・・こうなるのです。

 うぉ~! 海と湖が繋がりそう!?

 これは先ほどの場所の遠景ですから、30メートルの大波が押し寄せていることになります。

 東日本大震災のの津波もココまでではありません。ということは、現地の人々が如何に過酷な環境で暮らしているのか分かります。

 では、海がもっと荒れたらどうなるのか? ・・こうなります。

 ひええええ~~!!!!

 かと思えば、強風の日は空がこんなふうに・・

 うん、虹が見える。 ←(ソコじゃない!)

 おや、頂上付近に建物が。←(ソコでもない!)

 こんなフォロー諸島ですが、入り江のほとりにはこんなのどかな集落も。

 

 ココは海が荒れても大丈夫なんでしょうか。気になって夜も眠れません(笑)

 さて、”北半球で最も長い滝”の画像がコチラ・・

 ここはフェロー諸島一つヴァガル島のガサダルー村にあるムラフォスール滝。

 遠景の空の色が美しいので、この画像を使いましたが、滝の大きさは伝わりにくい?

 ということで、”北半球最大”と言われるムラフォスール滝の実際の長さを調べましたが見つかりません。(残念!)

 この写真の左側には、同諸島最西のミキネス島があります。

葉羽 この風景・・近年観た映画に出てきた気がするのですが何だったろう? スターウォーズだろうか、それとも・・。上にある村は王宮に変わっていた気がしますが。

 ガサダルー村は滝の上にある集落ですが、隣村との間に標高400メートルの切り立った高山があり行き来できませんでした。

 人口はどんどん減少し、たった16人にまで。全員が親戚で全員が独身だそうです。

 しかし2004年に、その16人のために長大トンネルが掘られ、現在は隣村と行き来できる状態に。(まあ、行政も郵便配達も大変でしょうから。それにAmazonも?(笑))

 これで交流と人口が増えていくことを期待しましょう。

 そんなガサダルー村の冬の風景がコチラ・・

 う”っ・・厳しい? やっぱ厳しいか。

 大小18の島で構成されるフェロー諸島の人口は、全体で5万人程度。自治領であるため首相も存在し定員33名の議会も。

 フェロー諸島はデンマーク本国とは異なる外交路線を歩んでおり、現在も欧州連合(EU)には加盟していません。

 また、オリンピックへ出場する際はデンマーク選手団に含まれますが、パラリンピックには単独での代表選手派遣が認められています。(実際に出場している。)

 そんなフェロー諸島の代表的な住居の姿はこんなふう・・

 はい、屋根が芝草で覆われています。まるで『おとぎの国』。

 これは、フェロー諸島でもっとも大きなストレイモイ島のサクスン村の景色。

 元々は13〜15世紀のバイキングの時代に作られたフェロー諸島独特の屋根で、断熱効果が高いそうです。

葉羽 縄文時代の竪穴式住居も同じ理屈で、草を生やした屋根が存在していた。

  竪穴式住居

 サクスン村の教会もこんなふう・・

 低い滝が横に流れる景観も牧歌的でいい感じ。

 

 ただし、フェロー諸島の住居が全部こんなふうではなく、エストゥロイ島のジョグヴ村は北欧風のカラフル屋根。

 うん、これはこれでやはり『おとぎの国』ですね。

 こちらの教会はこんな感じです。

  ジョグヴ村の教会(上写真左上)

 こんなフェロー諸島、実はIT大国でもあり、島の至る所でインターネットへの接続が可能。

 ヴァイキングの時代には、船乗りたちから「あそこの島に近づくと崖の上からトロールが石を投げて来る」と恐れられる勇敢なお国柄でした。

 ん、トロール・・やっぱ『おとぎの国』じゃん!!

  一部には比較的なだらかな崖も

 お後がよろしいようで。 

 《配信:2023.11.1》

葉羽 内外の様々なフェロー諸島旅行記から情報を引用させていただきました。

 

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