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 その121 モダンアート・プラス
「モーニングコーヒー」Benchi time

 モダンアートにもう一つプラスされると、さらに・・?

 東京都港区の森美術館は、今年2023年で開館20周年を迎えるのを記念して「ワールド・クラスルーム」展覧会を開催しています。

 その展示作品の一つが、次のヤン・ヘギュ氏『ヘギュ・ヤン:コーン・オブ・コンサーン』。

 うん、中々に美しい。

 「ワールド・クラスルーム」(世界の教室)のコンセプトは、1990年代以降に盛んになってきたモダンアートが、既に「美術」の範疇を超えて国語・算数・理科・社会などあらゆる学問領域に通底する総合領域となっていることを示すのだそう。

 確かにそう思う。作品によっては「哲学」も含まれるかもしれない。

 そして次が、宮島達男氏の作品『Innumerable Life/Buddha CCIƆƆ-01』。

 赤い世界の中のモザイク模様。これも思わず見入ってしまう作品・・と言うか、見入っている人物が傍らに佇んでいる。

 そこでハッと考えた。

 モダンアートは、作品単独の存在だけでなく、それを見る人間がそこに居ることで、より思想性が深まるのではないかと。

 と思って、人物と共に写った別の作品を探してみる。あった・・東京国立近代美術館の展覧会に出展されている現代アートの巨匠ゲルハルト・リヒターの作品を着物姿で鑑賞する「きものでアート」。

 横長の長大なキャンバスを様々な色の線で塗り分けるのが特徴の作品だが、そこに着物の女性が居ることで、会場自体が不思議な空間と化している。

 さて、次は三年前にサンクトペテルブルクにオープンしたカフェの内装。

 これは驚きだ。既にアートの中に「人」が取り込まれている。

 制作者の名前は明らかでないが、床から内装、テーブルから椅子まで手書きのアート風に仕上げるのに35日間を要したという。

 次は、リオデジャネイロの街中に登場した巨大なアート。

 中国の艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏による『自転車よ、永遠なれ』という作品。

 一千台以上の自転車のフレームを組み合わせて制作された。これも、奥の方に自転車を漕ぐ人物がいることで「アート空間として完成した」ように見える。

 アートの中に人物が取り込まれたという観点からもう一つ、ドイツの聖エリザベート教会の塔の上・・

 

 危ねぇ!!!

 実は、シュテファン・バルケンホール氏が教会内で個展を開催する野に先立って、塔に施された人物の彫刻。(※実際の大きさは人間大)

 これを見た通行人から「教会の塔から飛び降りようとしている」と通報があり、消防署などから20人が急行するという騒ぎになったそう。

 ちょっとお騒がせではある(笑)

 次は、ニューヨークのクリスティーズ主催「現代美術オークション」の内覧会で出展された蝋人形。

 

 リアルさが売りの蝋人形だが、ニューヨーク市警の警官二人が逆立ちをしている。

 右奥の方から美術品を物色している紳士がやって来るが、彼がこの作品に気付いた時には腰を抜かすかもしれない。

 実に面白い構図で、この写真自体がアートだと思う。

 右の背景画像(→)は、南フランスのトゥールズで開催された「20世紀のブリティッシュ・アート展」での風景。

 首の長い彫刻を驚くように見上げる人物の様子が愉快だ。

 制作者、英国のアントニー・ゴームリー氏は、自分の身体を石膏で模ってモチーフとし、作品に応用しているとのこと。

 ずいぶん首の長い人だったようだ(笑)

 をっと! 少年が巨大な骸骨に触れようとしている。

 ロンドンのリージェント公園で開催された現代美術展「フリーズ・アートフェア」で最も注目を集めた、インドのスボート・グプタ氏による作品。

 この作品がユニークなのは、台所用品を寄せ集めて作ったものであること。まあ、空き缶などであろうが、廃物利用もここまで来ると立派なものである。

 骸骨というものは、モダンアートのモチーフとしてよく利用されるものであるらしく、次は、操り人形のように踊る骸骨・・とそれを訝しげに横目で見る男性。

 

 パリの「グラン・パレ」博物館に出展された作品だが、彼が何を思ったのか表情から想像するだけで楽しい(笑)

 次は、モダンアートがまだ前衛芸術と呼ばれていた頃、1966年にストックホルムで開催された近代美術展で前衛女性彫刻家ニキ・ド・サンファル氏が出展した張りぼて人形「ホン(彼女)」。

 

 あらららら・・入口からさらに奥に入って行けるのだろうか。まるで胎内巡りのようだ。

 観覧者が女性ばかりというところが、ちょっと救われる感じがする。(何で?)

 もう一つ古い作品で、ウクライナのキーウに展示(ロシアの侵攻前)された巨大なボクサー。

 

 いま思うと、ウクライナ人の不屈の闘志を感じさせる作品だと思う。

 プーチンも、この展示を見ておけば早まったことをせずに済んだかも。

 次は、日本人アーティスト西野達氏本人が登場している「煙突の家」(フランス・コルドメ)。

 

 うん、本人はご満悦のようだがよく分からない(笑)

 こうした大がかりな「工事」まで必要とする作品は、彫刻とかインスタレーション(空間演出)を超えて「プロジェクト」と呼ばれる。

 写真の「煙突の家」は実用性があまり無さそうだが、実際に人が居住できるモノになって来ると、「建築」との境界が曖昧になってくるようだ。

 そんな一つが、ドイツの「マグデブルクの緑のとりで」。

  小さすぎて人間が見えない(笑)

 オーストリアの建築家フリーデンスライヒ・フンデルトワッサー氏の晩年の作品。

 「錯視」効果も狙っているようで、建物自体は普通に居住できるものだが、グネグネの模様を施したことで建物が歪んでいるように見える。

 注目は「グネグネ」が樹木を模っていることで、屋上部分には、ちょうど対応するように植栽があって木のように見える。(だから緑のとりでなのか・・とりで?)

 さて、今回のラストは、ご存じの方も多いと思うがマルセル・デュシャンの『泉』。

 こっ・・コレはっ・・・!? (使用している「人」は写せない:笑)

 イギリスの美術関係者500人へのアンケートによって選ばれた「20世紀で最も影響力のあった芸術作品」の第一位となったアート。(アート?)

 ちなみに、2位がピカソの「アヴィニョンの娘たち」、3位がアンディ・ウォーホルによるマリリン・モンローの肖像だそうだ。

 《配信:2023.5.31》

ん?最後のヤツ、何なの?

葉羽 いや・・つまり、その・・アート。(汗)

ヘンな形よね、別に美しくもないし。

葉羽 まあ「泉」をイメージした一つの造形なんだな。

じゃ、アナタも「泉」から零さないようにしてよね。

 分かってんじゃねーかよっ!m9っ`Д´)

 

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