アマチュア・オーケストラは日本に1000団体ほどあるらしいが、そのうち600~700団体が東京圏にあるという(「百式ヴァイオリン」の記事)。
クラシック音楽情報サイト「オケミン」によるとそのベスト5は、東京大学音楽部管弦楽団、新交響楽団、早稲田大学交響楽団、慶応義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ、都民交響楽団だという。これに関西の京都大学交響楽団を加えてベスト6ということらしい。
東大管と京大響だけ聞いていなかったが、今回2月8日に東大管をやっと聞くことができた。西武新宿線が降雪で長時間不通になったため迂回してサントリーホールに到着。チケットはS席2500円(SS席3000円は売り切れだった)でLB8列14だった。
客の入りは9割以上。このオーケストラの団員はハープ2人、ファゴット1人、打楽器1人の計4人の賛助出演を除きすべて現役の東大生だった。ちょっとした壮観である(笑)。
「魔弾の射手」序曲(ウエーバー)はやはり冒頭のホルンが不安定。しかし、これに目をつぶるとなかなか聞かせた。
この新田ユリという指揮者の指揮が実に格調高いのだ。音楽的というのか、無駄がなくてこの指揮についていけば間違いないという端正にして安定した指揮ぶりなのだ。こういう指揮者はいそうでなかなかいない。

指揮者の新田ユリ(国立音楽大学教育音楽学科卒)
フィンランドと日本を拠点にして活動しているので、シベリウスなど北欧音楽のスペシャリストのように思われているが、そんなことはない。今回も終結部の急加速が猛烈で迫力満点だった。
2曲目はヒンデミットの「ウェーバーの主題による交響的変容」。オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の録音で予習してきたのだが、なぜかピッチが違うのか、違う曲みたいに聞こえた。これはコンサート後半のアンコール「ラコッツィ行進曲」(ベルリオーズ)でも感じた。休憩なしに連続で演奏した2曲目でピッチの調整をしなかったから?これはちょっと不思議だった。私の耳がおかしいのか?
それはともかく、メインである後半のベルリオーズ「幻想交響曲」はこのオーケストラの実力を知らしめる熱演だった。第1ヴァイオリン14、第2ヴァイオリン15、ヴィオラ12、チェロ11、コントラバス6の弦楽器構成だが、金管楽器に押されることなく見事な踏ん張り。さらに木管が素晴らしい出来。
これに比較すると金管も頑張ったが、ホルンがちょっと安定感に欠けていて残念。本当にホルンは難しい。全体に団員の楽曲理解のレベルが高く感じられるのは「東大生のオーケストラ」という先入観か(笑)。
欲を言えば、第2楽章にはもうちょっとエレガントな味わい、第3楽章には不気味なムードが欲しいがそれはプロに求める高いハードルだ。その分第4楽章、第5楽章はアマチュア・オーケストラにしかできないような凄い集中力の盛り上がりで興奮した。
これで前述した「オケミン」が選ぶアマチュア・オーケストラのベスト5を聞いたことになるが、私が聞く限りでは新交響楽団が別格、これにこの東京大学音楽部が続いている感じ。次いで早稲田大学交響楽団、慶応義塾ワグネル・ソサィエティが続き、都民交響楽団はちょっと落ちる。さらに東京ユヴェントス・フィルハーモニー、フィルハーモニック・ソサィエティ・東京などがこれに差なく続いている感じである。
私のアマチュア・オーケストラ通いは続きそうだ。