「windblue」 by MIDIBOX


このNHK第一放送の連続TVドラマ「空白を満たしなさい」は、偶然第2回目を途中から見て、「これ何?ちょっと変じゃない?」となって引き込まれた。

 原作は平野啓一郎。素晴らしい原作で、きっと映画化されるだろう。

 平野啓一郎が京大在学中に書いて芥川賞を受賞した「日蝕」は三島由紀夫みたいな小説で印象に残っていないが、最近は、SFチック、メタバース的な設定で人間の本質に鋭く迫っている作風になっているようだ。

 TVドラマもいいが原作の小説を読んで見なきゃならないかなあ。

 平野啓一郎について嫉妬するのは春香というモデルと結婚していることだ。

 この丸谷才一似の男が春香みたいな絵に描いたような美人モデルと結婚したというのは許せんなあ。

「復生者」という、一度死んだのに生き返った人間が社会に登場し始めているというSFチックな前提で物語は進行するが、いつの間にかSFチックどころか、人間存在の最奥の問題を突きつける。

 主人公(柄本佑)は、サラリーマン時代に本社ビルから投身自殺したのだが、その後復生者となって 自宅に現れる。

「空白を満たしなさい」の柄本佑と阿部サダヲ

 自分は絶対に自殺なんかしないと調べるうちに同じ会社の警備員の佐伯(阿部サダヲ)が突き落としたのではないかという情報を得る。

 この阿部サダヲが実に素晴らしい演技で、まるでドストエフスキーの小説に登場する悪の権化なのに深く思い悩んでいる人物を思わせるような存在なのだ。

 これに負けず劣らず柄本佑(柄本明の長男)、主人公の妻役の鈴木杏、主人公の母親役の風吹ジュンなども好演している。

 第4回が7月23日(土)22時から22時50分、第5回最終回が7月30日(土)同時間にある。

(2022.7.22「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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