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セクハラ撲滅を目指す♯Me Tooムーブメントは大きな広がりを見せて、流行語にまでなった。

 それにあやかって日本では♯Ku too運動がいま注目されている。

 日本語の靴と苦痛を掛け合わせたもので、職業柄、パンプスを履くことを義務付けけられている女性たちが、これでは外反母趾や巻き爪などの健康被害の原因になるから、こういう性差別を撤廃してほしいと立ち上がったのだ。

 グラビア女優でライターの石川優美(ゆみ)さんが厚生労働省に1万8800人の署名を提出したのを契機にマスコミが扱い始めた。

 国会でも取り上げられ、根本匠・厚生労働省大臣は「ハイヒール・パンプスの強制を容認するわけではないが、ハイヒール・パンプスの強制を禁止することまでは現状考えていない」と煮え切らない発言。

 そういう性差別を受けている職業として、企業の受付係や秘書やキャビンアテンダントなどがあるが、面白いエピソードがある。

 ノルウエイ航空は、医師からの診断書がある場合を除いて、ハイヒールの着用と化粧を女性キャビンアテンダントに義務づけて来たが、今年5月から女性従業員がいつでもフラットシューズを履いてよい、また化粧をしなくてもよいことを決めた。

 さらに男性従業員の化粧も認められたという。男性従業員の化粧は禁止されていたようだ。

♯Ku Tooムーブメントは、女性たちの切実な訴えではあるが、その背景にあるのは、今も続いているスニーカー革命であろう。

 アメリカのTVドラマ「セックス アンド ザシティ」の影響で2008年ごろから5年ほど「ジミーチュウ」「セルジオ ロッシ」「マノロ ブラニク」「クリスチャン ルブタン」などのモード系ハイヒールによる「10万円で足元をラグジュアリーに」という流れがあったのを最後に、女性の足元は一気にスニーカー時代に突入した。

 その結果、女性のコーディネートは、スニーカーをベースに組み立てられるようになった。そういうスタイリングはストリートテーストとかスポーツテーストの表現などと言われているが、ファッションテーストの問題ではなくて、ライフスタイルの決定的な変化と見るべきだろう。

「通勤やオフィスでジーンズはダメ?」などファッション誌がノンビリやっていたのは10年前だったろうか。

 また2015年春にGUが仕掛けて大ヒットしたガウチョパンツもすでに懐かしい存在になっているが、最近のウイメンズのボトムということになるとさらにリラックスしたゆるゆる(だぼだぼ)パンツが注目されている。

 ポイントはウエスト部分にベルトはなくゴムになっていること。またいかにもリラックスしたロングスカートも巷に溢れているが、これもウエスト部分がゴムのタイプがほとんどだ。

 かつてこのウエストゴムは、体型が崩れてベルトをするのが苦痛になった中年女性のためものだった。

 しかし、現在の日本の若い女性たちの圧倒的支持を集めて、今やウイメンズボトムの主役になっていると言っても過言ではない。

 もう男性の視線などは構っちゃいられないという覚悟が感じられるのだ。

 しかし、さすがに、これではいかにも「オバサン」過ぎるというのか、プリーツで変化をつけているタイプが多い。もちろん、足元はスニーカーである。

 この日本の女たちのリラックス・ムーブメントはどこまで行くのだろうか?

                

(2019.10.11「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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